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自立支援介護の考え方を知ろう。介護施設ではどのような支援が行われている!?

高齢化社会が進む中、介護現場は需要に対する供給が追いつかなくなってきています。
そうした中、注目されているのが自立支援介護です。

本記事では、自立支援介護の三原則、自立支援介護をサポートする介護施設の種類、自立支援介護の支援内容やメリットについて解説します。

自立支援介護とは

自立支援介護とは、要介護の高齢者の自主性を活かし、自立した生活ができるように支援・介護することです。
すべての高齢者に同じ介護をする一方的な介護ではなく、できる部分は本人にしてもらい、できない部分を介護職がサポートします。
できない部分もすべてサポートするのではなく、リハビリを兼ねてサポートしていきます。
より多くのことを高齢者に行ってもらうことで、社会的・精神的・身体的自立によって、その人らしい生活ができるように支援するのが自立支援介護です。

自立支援の三原則

自立支援には「生活の継続性」「自己決定の尊重」「残存能力の活用」という3つの原則があります。
自立支援介護を行う上で大切な考え方なので、しっかり覚えておきましょう。

生活の継続性

介護を必要とする高齢者の生活環境や生活リズムをできる限り継続できるようにサポートします。
たとえば、施設に入居する際にも使い慣れた家具や食器を持ち込んだり、夕方はテレビを見て過ごしたりすることで、環境・習慣をなるべく変化させないよう配慮します。

自己決定の尊重

高齢者自身で、自分の暮らし方や生き方についての意思決定をサポートするとともに、その決定をできる限り尊重します。
たとえば、おやつをケーキにするかドーナツにするかを決定してもらうことも自己決定の一つです。
小さな決定であっても、自己決定の積み重ねが、「自分の人生の主人公は自分である」という気持ちにつながり、自立につながります。

残存能力の活用

高齢者それぞれが持つ能力を最大限に使って、自分でできることは自分でやってもらうようにすることです。

たとえば、左手に麻痺があったとしても、右手は動きます。
ご家族が介護する場合「危ない」「時間がかかる」といった理由ですべてお手伝いしてしまうこともあるでしょう。
しかしそれでは、自立にはつながりません。
自立支援では、右手だけでも着替えられる衣服を用意する、片手でも食べやすい食事・食器にするといった工夫をして、なるべく自分でやってもらうようにします。

自立支援をサポートする介護施設

自立支援をサポートする介護施設には、さまざまな種類があります。
以下で、いくつか紹介します。

健康型有料老人ホーム

自立状態の高齢者を対象にした老人ホームです。
食事サービスが付いていて、プールやジムなどの設備を有する施設もあります。
自立状態の高齢者を対象としているため、部屋にキッチンが付いているなど、自立した生活を送りやすい環境です。
ただし、介護が必要になった場合には退去が必要となります。

ケアハウス

60歳以上で身寄りがない、または家族からの介護を受けられない方を対象にした施設です。
一般型は食事サービス・安否確認・生活相談などのサービスを受けられます。
介護型は要介護1~2の高齢者が対象で、介護職によるサービスを受けられます。
ただし、介護度が上がったり、必要な医療内容が高度になったりする場合は、退去が求められます。

サービス付き高齢者住宅

地域包括ケアシステムの政策の一つとして作られたもので、自立状態の高齢者を対象にしています。
相談員が常駐していて、安否確認や生活相談サービスを受けられます。賃貸契約であり、高齢を理由に入居拒否や強制退去を迫られることはありません。
ただし、介護度が高まった場合は在宅介護サービスの利用が必要となります。

シニア向け分譲マンション

高齢者を対象にしたマンションで、家事代行・食事提供・緊急時対応などのサービスを受けられます。
施設によっては共有エリアにカラオケ、理容室、売店などがあり快適に暮らせます。
ただし、入居時に審査があるためハードルは高い傾向にあります。

軽費老人ホーム

自治体などの援助を受けることができ、比較的安価に入居できる施設のことです。
軽費老人ホームには、食事を提供するA型、食事提供がないB型、さらに前述のケアハウスも含めて3種類あります。

介護施設で取り組む自立支援の具体例

介護 自立支援

介護施設で取り組む自立支援の具体例について、紹介していきます。

日常生活のリハビリ

日常生活で必要な動作をサポートしながらトレーニングしていきます。
たとえば、入浴やトイレ、着替えなどの動作を高齢者の能力を最大限活かす形で見守ります。
自立を目指す高齢者は、着替えに時間がかかることが少なくありません。
しかし、手を貸しすぎてしまえば、必要な動作を身体で覚えられなくなります。
そのため、サポートは必要最小限として見守りつつ、転倒などのトラブルが起きないようにサポートします。

筋力維持・向上トレーニング

身体機能の維持・向上は高齢者の自立につながるものです。
たとえば、口腔体操を行えば嚥下機能が向上して食事が快適になります。
歩行訓練や簡単な体操を行えば、散歩や日常生活の動作をこれまでよりスムーズに行えるようになるでしょう。
筋力が目に見えて向上しなかったとしても、維持できれば生活の質が下がりにくくなります。

また、筋力維持・向上は高齢者の自信にもつながります。
できることが一つでも増えれば「次はあれをやってみたい」という気持ちにつながり、自立へ向けて大きく前進できることでしょう。

介護施設で自立支援を行うメリット

介護施設で行う自立支援には、以下のようなメリットがあります。

メリット1:QOLの向上

自立支援はQOL(生活の質)の向上に役立ちます。
自立支援介護によって、日常生活における動作が少しでもスムーズになれば、生活は快適になります。
また、本人の意欲が向上して前向きになることで、明るい毎日を過ごしやすくなります。

メリット2:家族の介護負担が減る

ご家族の介護負担が減ることも大きなメリットです。
たとえば、おむつを着用していた高齢者が、自立支援によって身体機能が向上して、一人でトイレに行けるようになることもあります。
排泄介助はご家族の介護負担はもちろん、高齢者本人にとっても精神的に負担がかかるものです。
自立支援によってトイレに行けるようになることは、双方にとって大きなメリットとなることでしょう。

メリット3:介護度が改善する

自立支援は介護度の改善も期待できます。
高齢者は、加齢や病気などにより日常生活においてできることが減っていきます。
そのため、年齢が高まるにつれて介護度が高まる傾向にあります。

しかし、自立支援介護が適切に行われて本人も意欲的であれば、介護度は維持され、場合によっては改善されることもあります。
介護度の改善は、ご家族にとって介護負担の軽減や介護費用の軽減につながります。
そして高齢者本人にとっては、少しずつ快適になる日常を楽しめるようになり、生活意欲の向上につながります。

自立支援は高齢者の意思を尊重することが大切

自立支援は、介護職が一方的に行う介護ではありません。
介護対象となる高齢者の意思を尊重しつつ、できることはなるべく自分でやってもらい、自立に向けて生活意欲を高めていくことが大切です。

ただし、自立支援介護は、自立を強制するわけではないこと忘れてはいけません。
高齢者本人の意志が何よりも大切であり、「自分からやってみよう」と思えるように促し、サポートすることが重要です。
高齢者の気持ちに寄り添いつつ、自立へ向けて少しでも前向きに一歩を踏み出せるように、背中を優しくさすりながら押し支える気持ちで取り組みましょう。