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看護学生は必見!実習内容や役立つ知識を紹介

看護学生が看護師になるためには、学校で学ぶだけでなく、病院やさまざまな施設で臨床実習を行って単位を取る必要があります。
また、看護実習は看護師としての知識や経験を深めるための貴重な経験ができる機会でもあります。

本記事では、看護実習の目的や看護実習の内容、看護実習で大変だと思われやすいことなどを解説していきます。

看護実習の目的

看護実習の目的は、看護科にて学んだ知識を現場で活用し、基本的な看護実践力を身につけることにあります。
以下は、文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解」に記載されている看護臨地実習の目標です。

看護の見方・考え方を働かせ,臨地において実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して,看護の実践に必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)臨地における看護について体系的・系統的に理解するとともに,関連する技術を身に付けるようにする。
(2)臨地における看護に関する多様な課題を発見し,看護の職業倫理を踏まえて解決策を探究し,合理的かつ創造的に解決する力を養う。
(3)臨地における看護について,よりよい看護の実践を目指して自ら学び,人々の安全と安楽を守り,健康の保持増進と生活の質の向上に主体的かつ協働的に取り組む態度を養う。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 看護編

看護実習に必要な持ち物

看護実習に行く場合、学校側から必要な持ち物については指示があります。
それ以外にも、以下のものは看護実習で必要になりますので必ず持っていきましょう。

  • メモ帳
  • 文房具
  • 時計
  • 検査値
  • 参考書
  • 聴診器 等

頻繁に手洗い消毒を行うため、時計は腕時計よりもユニフォームやナース服に取り付けられるナースウォッチがおすすめです。
蓄光タイプだと夜勤中も使えます。文房具は3色ボールペンのように複数色使えるものだと、異常値の色分けがしやすいのでしょう。
また、実習では毎日必ずバイタルサインの計測を行います。
初めのうちは正常値がわからず困惑することもありますので、検査値一覧表などを用意しておくとよいでしょう。
ポケットサイズの参考書があるとさらに便利ですし、安心できます。

看護実習を進めるポイント

看護実習に行く前には行動計画を作成しましょう。
行動計画には、どのような看護を行うのか、何に留意して看護を行うべきか、いつどのようなことをするのかなどを記載します。
初めての看護の現場では誰もが迷ったり焦ったりしてしまうものです。
行動計画をしっかり記載しておけばやることが明確になります。
実習の現場で迷った際の行動指針となるように、しっかり記載しておきましょう。

看護実習では、学生が主導で行うカンファレンスが行われます。
カンファレンスでは、司会進行・書紀など役割を決めておくとスムーズに進みます。
司会進行なら時間配分を行いつつ進行を行います。
その他、自分の役割を理解し、積極的に発言を行って看護実習を有意義に進めていきましょう。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 看護編

看護実習の内容

看護師

看護実習は、「基礎看護臨地実習」「領域別看護臨地実習」「看護の統合実習」と大きく3つに分けられます。
ここでは、基礎看護臨地実習と領域別看護実習について解説します。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 看護編

基礎看護臨地実習

基礎看護臨地実習は初めて行う看護実習で、看護における基礎的な知識や技術を学びます。
看護の見方や考え方を、臨床を通した学習活動により、実践的・体験的に身につけ学ぶのが基礎看護臨地実習の目的です。
また、看護を実践することで課題を見つけ、倫理観を踏まえた上で、合理的・創造的に解決する姿勢を養います。
学習内容としては、保健医療福祉施設の機能の理解、看護の役割と対象の理解、看護におけるコミュニケーションについて、日常生活の援助、看護の展開が主な学習内容となります。
基礎看護臨地実習後は、領域別看護臨地実習へ移行し、各領域の特質に応じた知識・技術の統合を行います。臨床を通して実践的・体験的に、看護の見方や考え方を学び身につけていきます。

成人看護臨地実習

成人看護実習では、急性期・慢性期・終末期など、各病期に応じた看護を学びます。
それとともに、リハビリテーション看護やがん看護についても、見学やサポートを通してその目的や特質を実践的・体験的に学習していきます。
対象の多様な生活習慣と機能障害との関連性、病期の治療と社会生活をどう両立させるのか、看護を通して精神的なサポートを行う重要性など、身体面とともに精神面や社会生活との関わりなども積極的に学び、理解することが大切です。

老年看護臨地実習

老年看護臨地実習では、加齢に伴って身体的・精神的・社会的な変化やその特徴、さらには個別性を踏まえ看護を学んでいきます。
日常生活のサポートや診療時のサポートを実践的・体験的に、対象となる高齢者の生活行動と健康の関連性、身体機能・精神機能に応じた生活支援、高齢者の人権を養護することの重要性など学習することが目的です。
高齢者の看護は多職種が積極的に関わって連携することが必須であり、その中での看護の役割について理解を深める必要があります。
そのため老年看護臨地実習では、病院だけでなく老人福祉施設や老人保健施設など、さまざまな施設で実習を行います。

小児看護臨地実習

小児看護臨地実習では、小児の成長や発達の特徴を理解し、各発達段階に応じた健康課題を取り扱います。
小児は発達段階によって理解力が違うため、日常生活のサポートや診療の援助を実践的・体験的に学習する中で、発達段階に応じたわかりやすい説明ができるように工夫する能力を身に着けていきます。
そして、対象自身が主体的に治療に参加できるように支援し、疾病・治療の影響を最小限に抑えつつ、成長・発達を促すためのサポートも学んでいきます。

また小児看護では、未成年である小児だけでなくその家族も含めた看護が必要となります。
親子関係に入りすぎない適度な距離感を持って、家族との協力や家族への指導を実践的・体験的に学んでいくことも小児看護臨地実習の目的です。
小児看護では、対象の成長・発達の過程について深い理解が必要です。
そのため小児看護臨地実習は、病院やクリニックだけでなく、保育所・幼稚園・特別支援学校などさまざまな施設で行います。

母性看護臨地実習

母性看護実習では周産期の母親の看護を通して、母性の健康や特徴について学びます。
母性看護で重要なポイントは、妊娠期・分娩期・産褥期における対象自身、そして家族の肉体的・精神的変化や、社会的な影響を理解しておくことです。
それを理解した上で、必要に応じた看護を、実践的・体験的に学んでいきます。

また、母親の看護だけではなく、母性看護臨地実習では新生児や父親へのケアも行います。
授乳・おむつ交換・沐浴・感染予防など、新生児への直接的なケアとともに、母親・父親へのケア指導をします。
そうした実践的・体験的学習を通して、育児支援や母性・父性の発達、生命の尊さについて理解を深めるのが母性看護臨地実習の目的です。
母性の健康や発達の特徴についてより深い理解を得るために、母性看護臨地実習は病院や助産院はもちろん、母子保健センター、子育て支援センターなどの施設で行います。

精神看護臨地実習

精神看護臨地実習では、精神疾患を抱えている患者の診療に伴うサポートや、自立に向けた援助、家族への援助などを行います。
看護を通して、患者の精神症状の特徴、人権擁護、治療における対人関係を実践的・体験的に学びます。
精神看護で特に気をつけるべきことは、患者との距離感です。
適切な関係を築くことは、心理的なケアにつながるため大切なことですが、距離感が近すぎると回復に悪影響を及ぼす恐れがあります。患者と看護師として、適切な距離感を知ることも精神看護隣地実習では重要です。
精神看護臨地実習では、精神保健・精神医療・社会福祉の連携についても深く学び、理解していきます。
より深い学びを得るために病院はもちろん、精神保健関連施設、精神障害者社会復帰施設、精神障害者福祉関連施設など、さまざまな施設で実習を行います。

在宅看護臨地実習

在宅看護臨地実習は基礎看護実習や各領域別の看護臨地実習での実践を踏まえた上で、在宅にて治療・療養する人とその家族の看護について学びます。
在宅看護では、訪問先の看護を一人で行うこととなるため、看護師の負担・責任が大きくなります。
そのため、これまでの学習や実習で得た知識や経験を活かし、臨機応変に対応できる能力が求められます。
そのような在宅看護の特徴を踏まえ、リスクマネジメントや意思決定の支援、セルフケア支援、人権擁護、療養者と家族の健康管理、各種関連制度の知識と活用、生活の質向上などについて、実践的・体験的に学んでいきます。

また、在宅看護臨地実習ではコミュニケーション能力が大きく養われます。
療養者はどのように生活したいのか、療養者はどのような悩みを持っているのかなど会話を通して把握・理解して、看護によってどのようなサポートができるのかを考えていきましょう。
たとえば、介護者が休息を取れず苦しんでいるものの、それを言い出せないケースは少なくありません。
会話や表情だけでなく、洗濯物や部屋の状態、靴の揃え方など生活空間などから、対象がどのような悩みを抱えているのか在宅看護実習を通して考えてみましょう。
在宅看護臨地実習では、地域における保健医療福祉活動について理解を深める必要があります。
そのため療養者の自宅だけでなく、訪問看護ステーションや地域保健センターなどの施設でも実習を行います。

看護の統合実習とは?

看護の統合実習とは、領域別に行ってきた看護実習で学んできた看護の知識や技術を統合して専門性をより深め、看護師としてさまざまな場面で活躍できることを目指す実習のことです。
実習生は通常看護業務や管理業務、夜間業務などを行います。
その中で複数の患者やその家族、関連する職種と関わりや優先順位の判断・対応、医療安全について実践的・体験的に学びます。
このように、実習を通して看護知識・技術の統合を図り、看護師として業務を行ってく上で大切になる、看護能力や看護感を養うことが看護統合実習の目的です。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 看護編

看護実習は辛い?

看護師

実習とはいえ、看護実習ではプロの現場で働くことになりますので、思ったように行動できずに落ち込んだり辛さを感じたりすることも少なくありません。
ここでは、実際に看護実習ではどのような大変さがあるのか紹介します。

指導が厳しく感じる

病院は常に緊張感があり、時として指導者である看護師の指導が厳しくなることもあります。
また、冷静で迅速な判断が必要になるケースも多いことから、冷たさを感じてしまうこともあるでしょう。
しかしこれは、命を預かり診療をサポートする看護師として仕方のない面もあります。
「将来のプロとして厳しく指導してくれている」ことを理解し、過度に緊張することなく実習を進めましょう。

記録を取るのが大変

看護実習では、実習記録や看護記録などさまざまな記録を作成しなければなりません。
実習先によっては業務が忙しく細かく記録を取れない場合もあります。
最初のうちは大変に感じますが、慣れてくると効率の良い書き方が自分なりにわかってきます。
また、どうしても時間がないときには、走り書きでもいいのでメモをしておき、帰宅後にまとめるようにしましょう。

コミュニケーションの難しさ

看護実習では、患者や指導者、そして多職種の人々とのコミュニケーションが欠かせません。
何をどのように話せばいいのか、初めのうちはわからなくて戸惑ってしまうことでしょう。
特に患者は、未熟な実習生に対して警戒してしまうこともあり、コミュニケーションがうまく取れない場合もあります。
しかし逆に、患者からの優しい一言で助けられるケースもあります。
まずはひたむきに業務を行い、患者とのコミュケーションを毎日欠かさず行い、じっくりと打ち解けていくことを意識しましょう。

事前学習の多さ

現場経験のない・浅い実習生にとって、事前学習はとても大切なものです。
患者の疾病や状態によっては、かなりの量を学習しておかなければなりません。
基本的には、帰宅後や休憩時間などを活用して知識を深めます。
それでも足りないと感じる場合は、ポケットサイズの参考書などを実習先に持っていって、必要に応じて確認するようにしましょう。

看護実習でコミュニケーション力を身につけよう

看護においてコミュニケーションは最も重要なスキルです。
患者へのケアやサポート、同僚や多職種との連携を円滑に行うためには、コミュニケーションにより相互理解し、信頼関係を構築することが大切であるためです。
特に患者と接する機会の多い看護師は、コミュニケーションを通して患者との信頼関係を築くことが重要となります。
患者の疾病や状態を把握し、それに応じて患者の気持ちに寄り添ってコミュニケーションを取っていきましょう。

また、患者によっては会話が難しいケースもあります。
そのため、言葉だけに頼るのではなく、身振り手振りを駆使し、相手のわずかな表情や反応から理解していく、非言語的コミュニケーション能力を身につけることも大切です。
一人前の看護師になるために、看護実習を通してコミュニケーション能力をしっかり身につけていきましょう。

プロの現場で看護師としての知識・経験を深めましょう

看護実習は、プロの現場で実際に業務を行うことで、学んできた看護に関する知識を深め、より実践的に身につけるために行われます。
患者の命を預かる現場での実習となるため、看護実習は学校では経験することのない辛さ・大変さがあります。
しかし実習の経験は、これから看護師として働く上で貴重な経験となりますし、自身の看護感を構築する上で重要なものです。
目の前の患者に対して、できる限りのケア・サポートを行っていきましょう。
そして一人前の看護師として知識・経験を深め、将来の患者のケア・サポートへ活かしていってください。