リアルジョブ | 介護職・看護職・保育職の求人・転職サイト

アドバンス助産師を目指そう!仕事内容や取得するメリットを解説

少子高齢化が進む昨今、産婦人科や助産院では一般的な助産師だけでなく、「アドバンス助産師」と呼ばれる職種の人たちの活躍が目立つようになってきました。
アドバンス助産師は、より高度な助産ケアを行える助産師のことで、資格を取得できれば多くのメリットがあります。

本記事では、アドバンス助産師の概要、仕事内容や役割、資格取得の方法やメリット、将来性について解説します。

アドバンス助産師とは

アドバンス助産師は、助産についての高度な知識・スキルを持ち、実践能力が一定水準以上であることが認められている助産師のことです。
助産師は、看護師免許取得後に助産師免許を取得する必要があります。
助産師免許は更新制ではないため、個々の習熟度や能力は確認できません。

そこで、2015年に「CLoCMiP(クリニカルラダー)レベルIII認証制度」が設けられました。
一般財団法人日本助産評価機構によれば、この制度には3つの目的があります。

  1. 妊産褥婦や新生児に対して良質で安全な助産とケアを提供できること
  2. 助産師が継続的に自己啓発を行い、専門的能力を高める機会にすること
  3. 社会や組織が助産師の実践能力を客観視できること

アドバンス助産師になるには、「CLoCMiPレベルIII認証制度」にて一定水準に達していると評価され、認証を受けなければいけません。
認定された助産師は、「自律して助産ケアを提供できる」として、自身をアドバンス助産師と公表できます。

出典:一般財団法人日本助産評価機構「アドバンス助産師の申請

アドバンス助産師の役割

アドバンス助産師は、その知識・スキル・実践能力が客観的に認められているため、自立して助産ケアを提供することが医療機関で求められており、主体的な立場に位置し、高度な助産ケアを提供します。
また、高齢出産やハイリスク妊産婦に対する助産ケア、異常分娩時には医師・看護師と連携するチーム医療において、主体的な立場として活躍することも、アドバンス助産師の仕事です。

助産師との違い

アドバンス助産師と助産師では、できることにそこまで大きな違いはありません。
では、アドバンス助産師と助産師だとどこに違いがあるのでしょうか。
それは「CLoCMiPレベルIII認証制度」の認証を受けているか否かです。
助産師の中でも、助産についての高度な知識・スキル・実践能力があり、より質の高い助産ケアができることが客観的に認められています。
そのため、新人助産師の教育・指導も任されやすくなります。

アドバンス助産師になる方法

アドバンス助産師になるためには、「CLoCMiPレベルIII認証制度」の認証を受けなくてはいけません。
また、「CLoCMiPレベルIII認証制度」の認証を受けるためには、申請対象としての要件をすべて満たす必要があります。
そして、日本助産評価機構の「アドバンス助産師プラットフォーム」に会員登録および、Web上にて申請を行います。
審査に通過し申請料を支払った後に試験を受け、合格すれば晴れてアドバンス助産師と公表できるようになります。

アドバンス助産師の申請

アドバンス助産師の申請対象となるのは、以下をすべて満たす助産師です。

申請対象者

  1. 満5年以上の実践経験を有する日本国助産師資格保持者である
  2. CLoCMiPレベルⅢ認証新規申請要件をすべて満たしている
  3. 過去にCLoCMiPレベルⅢ認証取得経験がない

※認証を喪失した場合は、再認証申請の対象となります。

2の「新規申請要件」を満たすためには、以下の4つすべての要件を満たして、施設内にて承認を受ける必要があります。

2023年新規申請要件

  • 総合評価:B(以上)
  • 必須研修:20項目×90分
  • 実施例数:分娩介助、健康診査等を指定の例数以上実施
  • 学術集会:指定学術集会に1回参加

要件を満たしている場合は申請し、審査通過後に以下の定められた申請料を支払います。

申請料
50,000円(審査料20,000円 会費30,000円(認証機関5年分))
アドバンス助産師の申請要件である必須研修20項目は以下の通りです。

必須研修
①分娩期の胎児心拍数陣痛図(CTG)
②妊産褥婦のフィジカルアセスメント:脳神経
③妊産褥婦のフィジカルアセスメント:呼吸/循環
④妊娠と糖尿病
⑤新生児のフィジカルアセスメント
⑥臨床薬理(妊娠と薬)
⑦医療安全と助産記録
⑧妊娠期の栄養
⑨メンタルヘルス
⑩母体の感染
⑪緊急時の対応
⑫助産師と倫理
⑬後輩指導・助産師教育
⑭臨床推論
⑮災害時対応
⑯臨床病態生理
⑰授乳支援
⑱意思決定支援 (演習含む)
⑲WHC指定項目から選択(1)
⑳WHC指定項目から選択(2)

上記のうち、⑮災害時対応から⑳WHC指定項目から選択(2)までは2022年以降に新たに追加されました。
時代の流れに合わせ、「CLoCMiPレベルIII認証制度」も見直され、より高い精度の助産師の認証制度になるようにブラッシュアップしています。

出典:一般財団法人日本助産評価機構「アドバンス助産師の申請
出典:一般財団法人日本助産評価機構「CLoCMiPレベルⅢ(アドバンス助産師)認証申請 2022年からの申請要件改正についてのご案内

アドバンス助産師の更新

助産師免許は更新制ではありませんが、アドバンス助産師には認証期間があり、5年ごとに更新しなくてはいけません。
5年を過ぎても更新しない場合は、認証が喪失します。
喪失した後、改めて認証を受けたい場合は再認証申請を行う必要があります。

更新対象者
更新申請の対象者となるのは、以下を満たす方です。

  1. 日本国助産師資格保持者
  2. 5年前にCLoCMiPレベルⅢ認証を取得した者、および更新時期延長期間中の者
    例:2023年更新申請の場合、2018年認証取得者、および2022年更新時期延長者が対象
  3. CLoCMiPレベルⅢ認証更新申請要件をすべて満たしている

3の「CLoCMiPレベルⅢ認証更新申請要件をすべて満たしている」にある要件は以下のものです。

2023年更新申請要件

  1. 総合評価:A
  2. 必須研修:20項目×90分
  3. 選択研修:合計150時間(研修70~150時間 + 助産実践0~80時間)
  4. 学術集会:3回参加

必須研修の項目は新規申請と同じです。
更新申請に必要な更新料は以下の通りです。

更新料
50,000円(審査料20,000円 会費30,000円(認証機関5年分))

認証から5年が経過して認証喪失したものの、再びアドバンス助産師の認証を取得したい場合は、再認証申請が可能です。
再認証申請は任意の年に行うことができ、申請要件を満たすなど、準備を整えてから申請できます。
認証喪失後の新規申請はできませんのでご注意ください。

申請対象となるのは以下の通りです。

再認証申請の対象者

  1. 日本国助産師資格保持者
  2. 過去にCLoCMiPレベルⅢ認証取得経験があり、現在は認証を喪失している
  3. CLoCMiPレベルⅢ認証再認証申請要件をすべて満たしている

申請要件については、更新申請要件と共通です。

出典:一般財団法人日本助産評価機構「アドバンス助産師の申請

アドバンス助産師になるメリット

アドバンス助産師になると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット①:患者さんや職場から信頼されやすい

アドバンス助産師は、助産についての高度な知識・スキル・実践能力を持つことを、客観的に認められた助産師です。
「お産を任せられる助産師さんに担当してもらいたい」と願う患者さんはもちろん、職場からも頼りにされます。
特に近年は、高齢出産も増えている傾向にあることから、助産ケアの質の高さが求められています。
適切な対応や判断ができると客観的に認められているアドバンス助産師は、まさに今の時代に求められている助産師といえるでしょう。

メリット②:将来のキャリアアップにつながる

アドバンス助産師は、その高い能力が客観的に認められている助産師です。
患者さんや職場から信頼を得やすいことはもちろん、お産におけるチーム医療において中心として働くことが期待されています。
そもそもの前提条件として、看護師資格と助産師資格を取得しなくてはいけません。
アドバンス助産師は、そこからさらに研鑽を積んで取得できる資格であるため、希少価値が高く就職・転職に有利になりやすいことでしょう。
実際に、病院や助産院の中には助産ケアについて高水準の知識・スキル・実践能力を持つアドバンス助産師を求めるところが少なくありません。
履歴書や職務履歴に記載すれば、助産師としての力量をすぐに伝えることができ、説得力が生まれます。
そのため、良い条件で採用されやすいでしょう。

アドバンス助産師に求められること

アドバンス助産師

アドバンス助産師に求められるのは「倫理的感応力」「マタニティケア能力」「ウィメンズヘルスケア能力」「専門的自律能力」の4つのスキルです。
「倫理的感応力」は、助産師として患者さんに寄り添い、意思を尊重してニーズを把握した上で最善かつ適切な助産ケアを提供する能力です。
アドバンス助産師の土台であり、その他スキルの基盤になります。
「マタニティケア能力」は妊娠期から周産期までの各マタニティサイクルで、妊婦さんだけでなく家族に対して安心・安全のケアを提供する能力のことです。
「ウィメンズヘルスケア能力」は同じ女性として、女性特有の健康問題に取り組み、患者さんが適切な健康管理を行えるように、サポートする能力のことです。
「専門的自律能力」は、助産の専門職として自律し、助産ケアの質や向上・改革を目的として、施設の経営管理への参画や社会活動をする能力のことです。

アドバンス助産師の将来性

日本は少子化が進む一方で、高齢出産の件数が増加傾向にあります。
また、医療従事者、特に産科医の不足が顕著になってきているといわれています。
そのため、高度な助産ケアの知識・スキル・実務能力を持つアドバンス助産師は、患者さんはもちろんのこと、職場からも重要視されていくでしょう。

少子高齢化によって需要が増す職種

アドバンス助産師は、助産師資格を持つだけでなく、助産師として高度な知識・スキル・実務能力があると客観的に認められた人に与えられる資格です。
希少性の高い資格であるため、認証を受けることができれば、患者さんや職場から信頼されやすく、キャリアアップもしやすいでしょう。
また、日本は少子高齢化が進み出生率が下がってきています。
そんな時代だからこそ、妊婦さんや赤ちゃん一人ひとりにじっくり寄り添って、心身ともに手厚くケアできるアドバンス助産師は将来性だけでなく、やりがいを強く感じる職種といえます。