リアルジョブ | 介護職・看護職・保育職の求人・転職サイト

ステロイドパルス療法とは?副作用のチェックは看護師の役割!

ステロイドは抗炎症作用や免疫抑制作用があり、小児から成人まで、肺炎や喘息などさまざまな疾患の治療に使われます。
ステロイドパルス療法は、より重篤な疾患で用いられることのある治療法です。
治療法を耳にしたことはあるものの、「ステロイドパルス療法ってどういう治療?」「看護する上での注意点は?」という疑問を持っている方もいるかもしれません。

本記事では、ステロイドパルス療法について、看護師が行うべき副作用の観察ポイント、小児における注意点について解説します。

ステロイドパルス療法とは

ステロイドパルス療法とは、大量のステロイド薬を短期的・集中的に投与する治療法です。
通常のステロイド投与では治療できない病態に用いられます。
ステロイドは体内で作られるホルモンの一種で、抗炎症作用や免疫抑制作用があります。
そのため、各種炎症疾患や自己免疫疾患の治療に使われる成分です。

ステロイドパルス療法の方法

ステロイドパルス療法では、1クールで1gのステロイドを3日間連続点滴し、疾患によって1~3クール行います。
ステロイドパルス療法後は、ステロイド内服を継続しつつ、その量をゆっくりと減らしていきます。

対象となる疾患や副作用

ステロイドパルス療法は、通常の量で行うステロイド投与では治療できない重篤なケースで用いられます。
たとえば、重度の肺炎や膠原病、ネフローゼ症候群、交感性眼炎、視神経炎などでステロイドパルス療法を行います。
ステロイドは抗炎症作用とともに免疫抑制作用があり、ステロイドパルス療法を行うと感染症にかかりやすくなる副作用があります。
他にも、骨粗鬆症、糖尿病、消化管症状、不眠、興奮、抑うつ状態、不整脈、高血圧などの副作用が起きることがあります。

看護師の役割は副作用の観察

ステロイドパルス療法では、ステロイドによるさまざまな副作用が起こる可能性があります。
そのため、看護師は主な副作用について理解し、異常がないか観察することが大切です。

副作用が出るタイミング

ステロイドの副作用は、投与当日に出ることもあれば、治療から3ヶ月~半年経ってから出ることもあります。
治療中であればすぐに対処できますが、退院してから副作用が出た場合は速やかな対処が困難です。
そのため、患者さんに副作用について丁寧に説明し、正しい知識を持ってもらうことが大切です。

主な副作用と観察のポイント

ここでは、ステロイドの主な副作用と観察のポイントについてご紹介します。

易感染
ステロイドの免疫抑制作用により、感染症にかかりやすくなります。
患者さんと接するときは、感染予防にいつも以上に気をつけることが大切です。
また、患者さんには手洗いうがいを徹底してもらい、外出時のマスク着用を指導します。

骨粗鬆症
骨量が減少することがあるため、転倒しないように注意します。

糖尿病
大量のステロイド投与により、血糖が上がりやすくなります。
そのため、ステロイドパルス療法中は糖尿病ではない患者さんでも血糖測定を行って、必要に応じてインスリン治療を行います。
糖尿病の患者さんは悪化しますので、インスリン治療が必要です。

消化管症状
ステロイド投与中は消化管の粘膜が弱くなるため、潰瘍予防薬が処方されることがあります。
患者さんが異常を訴えた際は、すぐに対処できるようにしましょう。

不眠・興奮・抑うつ状態
不眠や精神の不安定が見られることがあります。
患者さんによって異なりますので、言動に注意しながら看護を行いましょう。
必要に応じて入眠剤なども処方されます。

不整脈・高血圧
ステロイドの急速投与で不整脈が出やすくなるため、適切な時間・方法で投与することが大切です。
投与中に患者さんが何らかの自覚症状を訴えた場合はすぐに医師に報告し、指示を仰ぎましょう。
また、事前に高血圧の既往歴・家族歴を確認しておきましょう。

その他の看護における注意点

ステロイドパルス療法には、さまざまな副作用があります。
その説明を聞いた患者さんは不安を感じてしまうものです。
しかし、途中でやめると治療効果が得られず疾患を治せないだけでなく、副作用だけが出るという最悪の状態になる恐れがあります。
患者さんの心に寄り添い、不安な気持ちを和らげられるような精神的ケアも心がけましょう。

小児に行った後に注意したいこと

小児 点滴

ステロイドは腎疾患、気管支喘息、小児リウマチ疾患など、小児の幅広い疾患で使用されます。
成人の場合と同様に、通常の投与では改善できない重篤なケースにおいては、ステロイドパルス療法を選択することもあります。
ステロイドパルス療法を行えば、通常投与よりも強い治療効果を速やかに得ることができる反面、成人と同じくさまざまな副作用があります。

小児の場合は身体が小さいため、体重あたりの投与量が成人と比べると多くなります。
そのため、副作用も強く出ることがあり、注意深く観察することが必要です。

また、成人にはない小児の副作用としては、ステロイド投与による成長障害の副作用があります。
他にも、ムーンフェイスや中心性肥満など外見に影響がある副作用があり、思春期の小児にとっては大きなストレスになる可能性があります。
そのため、ステロイドパルス療法を行う際には、小児の心に寄り添って精神的なケアを行うことが大切です。

患者さんの副作用の観察と心のケアを心掛けましょう

ステロイドパルス療法は、通常のステロイド投与では改善できない、重篤な疾患の治療のために行います。
治療効果は高いものの、さまざまな副作用が出ます。
そのため、看護をする上ではステロイドの副作用について正しい知識を持ち、患者さんの観察を行うことが大切です。
また、多くの副作用に不安を感じる患者さんも多いので、精神的ケアも忘れずに行いましょう。