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災害看護の現場で大切なこと。看護師の役割や働くための条件を解説

災害があった際、テレビなどで映る看護師の姿を見て憧れを持った方も多いのではないでしょうか。
実際にそうした災害看護の活動を見て、看護師を目指した方もいらっしゃるはずです。
しかし実際に被災地でどのように看護をすればいいのか、どうしたら災害の現場で働けるのかわからない方も多いでしょう。

本記事では、災害看護とはどのようなものなのか、災害看護の役割と災害看護の現場で働く条件について解説します。

災害看護とは

災害看護は、何らかの災害が発生した時に、被災者の心身の健康レベルを維持するために行う看護活動のことです。
災害の段階に応じて持っている知識やスキルを活かし、他の専門家と協力しながら看護業務を行います。
被災地での活動になることから、人手や物資が不足していることがほとんどです。

そのため一般的な看護と違って、状況に応じて臨機応変に対応していかなければなりません。
また、災害看護を行うためには、「災害支援ナース」として登録することが必要になります。

出典:日本看護協会「災害看護

災害看護が必要となる現場

災害看護が必要となる現場は「自然災害」と「人為的災害」の2つに大きく分けることができます。

自然災害の現場

日本は地震大国とも言われることからもわかるように、災害看護が必要となる自然災害の現場としてよくあるのは地震や津波です。
たとえば、都市部で地震災害が発生した場合、建物の倒壊や火災、山崩れや土石流などにより被害が拡大しやすくなります。
津波は地震により発生する災害であり、海に近い場所で地震が発生した際には注意が必要です。
瀕死リスクも高く、漂流物による機器損傷も多いです。
地震・津波は災害レベルが大きくなるほど、患者さんは命に関わる状態になりやすいため、より高い看護スキルが求められます。

他にも、自然災害の現場としては、台風や洪水による風水害、竜巻、火山噴火、干ばつなどが想定されます。
それぞれのケースで予想される疾病や怪我には違いがありますので、災害に関する知識を有しておくことが大切です。

人為的災害の現場

人為的災害とは、人為的な要因によって発生する災害のことです。
たとえば、交通事故・列車事故・飛行機墜落事故などが人為的災害の代表的なものです。
交通事故の場合、急激な外圧による機械的外傷が多く、命に関わる状態の患者さんが多くいます。
そのため、速やかな対応が求められます。
人為的災害には他にも、大火災、爆発、NBC災害(テロ災害)などがあります。テロ災害は化学物質などの使用によるものもありえるため、特殊な対応が必要です。

災害看護の現場での役割

災害看護の現場は、人材や医療資材が不足しがちです。
そのため、災害サイクルに応じて的確に行動し、その場に合った判断や臨機応変な対応力が求められます。
以下で、災害サイクル別の災害看護の現場の役割を解説します。

急性期

災害発生直後~72時間のタイミングです。
限られた状況下で最善の看護を行うための体制づくりや、看護業務を進めます。
被害状況の確認、使用できる医療機器の確認、ライフラインの確保、専門家との連携などを迅速に行います。

亜急性期

急性期からおよそ1ヶ月までのタイミングです。
二次災害の拡大を防止することが大きな目的で、安全管理や感染症対策などがメインになります。
また、患者さんへの生活指導やケアを通して、心身の健康維持に努めます。

慢性期

災害発生後1ヶ月から1年までのタイミングです。
災害の状況や患者さんの状態などを把握し、継続すべき看護活動と、終了しても差し支えない看護活動を見極めます。
その上で、患者さんが日常生活に戻れるように自立支援を行い、それに向けた看護活動を進めます。
地震・津波などの大きな災害を経験した方は、精神的に大きなショックを受けています。
そのため、長期的な目線で心のケアをすることも大切です。

静穏期

新たな災害の発生や再発生までに行う看護活動です。
災害に対する教育プログラムの作成、防災訓練の実施、災害看護教育などを行います。
また、地域ネットワークづくりや強化、食料・医療機器・医薬品の点検や準備も静穏期に行います。

災害看護の現場で働くには

災害看護の現場

災害看護の現場で働くには、災害支援ナースへの登録または災害拠点病院への勤務、DMATへの所属などがあります。

災害支援ナース

災害支援ナースは、日本看護協会から被災地に派遣される看護人材のことです。
災害支援ナースになるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 各都道府県の看護協会への登録
  • 5年以上の実務経験
  • 所属施設がある場合は、施設長の承諾
  • 災害支援ナース養成のための研修を受講する

さらに、以下の条件を満たすことが望ましいとされます。

  • 各都道府県看護協会で開催される、災害看護研修または合同防災訓練へ定期的(年1回ほど)に参加できる
  • 加入している賠償責任保険制度が、災害看護支援活動も補償の対象に含まれている
  • 被災地からの帰還後、各都道府県看護協会が主催する報告会・交流会などに参加できる

出典:日本看護協会「災害看護

災害拠点病院

災害拠点病院で勤務することも、災害看護の現場で働くひとつの方法です。
災害拠点病院とは、災害発生時に被災地域内にて災害看護を行う際の拠点となる病院です。
24時間の緊急対応ができ、ヘリコプターの使用や、孤立状態でも稼働できる備蓄や医療体制を整えているような、救急救命センターまたは第二次救急医療機関が災害拠点病院になります。

DMAT

DMATに所属すれば、災害看護の現場で働けます。
DMATとは専門的な訓練を受けて高い機動性を持つ災害医療チームです。
所属するにはDMAT指定医療機関に勤務することが最低条件です。
さらに「日本DMAT隊員養成研修」を受講して、筆記・実技試験に合格することで隊員資格を取得できます。

災害看護は被災者の命と心を助ける仕事

災害看護は、災害によって命を脅かされている人々を一人でも多く救うための看護です。
また、被災により身体や心にショックを受けた患者さんたちのケアを行い、日常生活を取り戻せるようにサポートも行います。
さらに、医療・看護はもちろん、災害に関する知識も高め、地域や専門家と連携していくことが必要になります。
専門性が高いためやるべきことが多く、臨機応変な対応力も求められるので、大変さはありますが、災害看護は大きなやりがいのある業務です。
興味のある方はぜひ目指しましょう。