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2025年問題による看護業界への影響

日本で迫ってきている問題「2025年問題」をご存知でしょうか。
超高齢化社会となり、労働人口の減少により医療・看護はもちろん、さまざまな業界に影響があると予測されています。

本記事では、2025年問題が看護業界へ与える影響、医療・看護分野で政府が取り組んでいること、2025年問題で看護師に求められることを解説します。

2025年問題による看護業界への影響

少子高齢化が進む日本では、2025年に労働人口が今より減少し、社会全体にさまざまな影響を与えるといわれています。
もちろん、看護業界にもその影響はあると予測されています。
具体的にどのような影響があるのか、以下で解説していきます。

看護師の不足と需要の偏り

日本の高齢化率が進み労働人口の減少、高齢者医療の必要性の増加などにより、看護師不足が深刻化すると考えられています。
しかし、高齢者医療の需要が高まる一方で、高度急性期や急性期、慢性期の領域は需要が縮小する可能性があるとも言われています。
看護師不足と需要の偏りは、2025年問題の大きな影響といえるでしょう。

看護師の役割の拡大

高齢者医療の需要が高まることで、看護師は医療機関だけではなく生活全体を診るところまで役割が拡大すると予測されています。
活躍の場は医療機関だけでなく、在宅医療・介護・予防医療まで広がることでしょう。
従来の病院看護師とは違う訪問看護師としての働き方を求められことで、新たな知識やスキルを得る姿勢が求められます。

新技術の導入が加速する

看護師を始め、医療現場では人材不足が加速すると予測されています。
それに伴って、新たな技術を導入する医療機関が増えてくることでしょう。
たとえば、電子カルテは業務効率を図れることから多くの医療機関で導入が進んでいます。
他にも、オンライン診療、地域医療情報連携ネットワークなど、人材不足を補う技術の導入が加速すると考えられています。

看護配置の見直し

後述しますが、政府では2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築を推進しています。
そのため、看護体制の軸は病棟から訪問看護へ移り、看護配置も見直されるようになると考えられています。
軸が移ったとしても、病棟看護と在宅看護全体を考えると、看護師需要は増加します。
そのため、適切な看護配置を行うことが求められています。

2025年問題における政府の対策

2025年問題は日本の社会全体の問題であり、政府も対策を講じています。

公費負担の見直し

政府では公費負担の見直しを検討しています。
高齢者の増加にともない、公費負担も増加します。
このままでは社会保障費を安定確保するのが困難になるでしょう。
そのため、所得や資産に応じた負担や薬価の改定などを検討しているのです。

看護人材の確保

政府では、医療従事者の人材確保のための支援に力を入れています。
看護職では、新規養成・復職支援・定着促進という3つの柱を打ち出し、看護人材の確保を進めています。
具体的には、労働環境の改善や男性の看護領域への参入促進、再就業支援研修の拡充などを行っています。

地域包括ケアシステムの構築

政府では、従来の「病院完結型」から「地域完結型」の医療・介護体制への転換を目指しています。
そのため、地域包括ケアシステムを構築しています。
地域包括ケアシステムとは、要介護状態の方が住み慣れた地域で、その人らしい人生を送れるように支援する仕組みです。
医療・介護・予防はもちろん、住まいや生活についても支援します。

病院機能の見直し

地域ごとに適切な医療体制を取れるように、医療機能の見直しも図っています。
たとえば、各地域によって病床の必要数はまったく異なります。
そのため、画一的なものではなく、地域にあわせて医療体制を整えることが大切です。
そのために、将来の推計人口から医療ニーズを予測したり、専門家らが医療機関の役割分担や機能連携について協議したりしています。

2025年問題で看護師に求められること

看護師

2025年問題で看護師にはどのようなことが求められるのでしょうか。

在宅・予防看護の役割

2025年問題では在宅・予防看護の需要が増え、看護師の役割も今より拡大すると考えられています。
また、健康への関心が高まっていることもあり、予防看護も注目されています。
高齢者が増え続ければ、より予防意識が高まると考えられます。
そのため、在宅看護とともに、予防看護についての知識・スキルも求められるようになります。

多職種との連携

政府により、地域包括ケアシステムが推進されていることで、看護師は多職種との連携が求められるようになります。
より適切な看護を行えるようにケアマネージャーや介護福祉士、理学療法士など多職種の役割を理解して、スムーズに連携できるようになっておきましょう。

専門的なスキルや知識

専門性の高いスキルや知識を持つ看護師は、今よりさらに求められるようになります。
特に各領域の認定看護師や専門看護師は、スペシャリストとして重宝されることでしょう。
また、拡大が予測されている在宅看護では、医療的判断だけでなく生活支援まで幅広い知識や経験が求められます。
そのため、広い領域の知識・スキルを持つジェネラリストな看護師も求められることが増えてくることでしょう。

柔軟な対応力

2025年問題は一つのきっかけであり、看護師の役割は将来的にさらなる変化を遂げると考えられています。
目まぐるしく変化する社会、そして看護業界に柔軟に対応できる力は、看護師を続ける上で大きな力となることでしょう。

2025年問題を見据えて動き出しましょう

2025年問題は、看護師の不足や在宅看護の拡大、看護配置の見直しなど、さまざまな影響があると予測されています。
病院から在宅へ軸が移動していくことで、看護師にはこれまでとは違うことが求められるようになるでしょう。
日本の社会、そして看護業界に大きな影響を与える2025年は、もう目の前に迫っています。
2025年問題を理解し、その変化に対応できるように今のうちから意識して対策していきましょう。