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准看護師とは?看護師との違いや養成所で学ぶことと資格取得方法

准看護師は、医師や看護師とともに医療や介護の現場で診療のサポートをする職種です。
病院や診療所はもちろん、高齢化社会が進む日本においては介護施設でも欠かせない存在となっています。

本記事では、准看護師とはどのような職種なのか、看護師との違いや養成所で学ぶこと、資格取得方法などを解説します。

准看護師とは

准看護師とは、病院や診療所などの医療の現場において、医師や看護師の指示を受けた上で看護や診療のサポートを行う看護職です。
介護施設のサポートも行えるため、高齢化社会が進む日本において勤務先は幅広くあります。

准看護師になるための資格は国家資格ではなく、都道府県知事が試験を実施し合格者に交付する免許です。
准看護師試験を受験するためには2つのルートがあります。

  • 中学校卒業後に准看護師学校(2年)または高校衛生看護科(3年)を卒業する
  • 高校卒業後に准看護師養成所(2年)を卒業する

仕事内容

准看護師の仕事内容は、勤務先や配属先によって異なります。
いずれにしても、医師や歯科医師、看護師の指示を受け、それに従って看護師とほぼ同等の業務範囲内で医療サポートを行います。
また、患者の心に寄り添い、コミュニケーションを通して心のケアを行うのも准看護師の仕事です。

以下は、准看護師の主な仕事内容をまとめたものです。

  • 点滴、注射、採血
  • 食事、排泄、入浴介助
  • バイタルチェック
  • 手術、診療補助
  • カルテへの記入
  • ナースコールへの対応 など

1日の流れ

前述の通り、准看護師の仕事内容は看護師と同様の業務範囲であり、勤務先や配属先によって異なります。
以下では、例として一般内科にて勤務する場合の1日の流れをご紹介します。

  • 8時半ごろから:午前の準備と診療:出勤後に予約確認や器具の準備などを行う。
    診療が開始されたら、医師や看護師の指示を受けて医療サポート等を行う。
  • 12時ごろ:午前診療終了:診療で使った器具の洗浄や滅菌、納品対応や午後の予約確認を行う。
  • 12時半ごろから:休憩:一般内科の場合は休憩時間が長めに取られることが多い。
    ただし、花粉症やインフルエンザのシーズンは、この時間を利用して診療するケースもある。
  • 15時ごろから:午後の診療:午前と同様に業務を進める。
  • 18時ごろ:診療終了:器具の洗浄・滅菌と片付け、翌日の準備を行う。
  • 18時半ごろ:退勤:インフルエンザ等のシーズンや急患対応をする場合は遅くなることもある。

上記はあくまでも一例であり、勤務先や配属先によって業務内容やスケジュールは異なります。

准看護師学校養成所の現状

准看護師の資格を取得するには、高校の衛生看護科または准看護師養成所を卒業してから准看護師試験に合格しなければいけません。
ここでは、受験要件となる准看護師学校養成所の現状について解説していきます。

准看護師学校養成所数の推移

准看護師学校養成所の数は1970年以降、徐々に減少しています。
特に2000年以降は急激に減少しており、ここ20年間で半分以下となりました。
准看護師学校養成所への入学者数も減少傾向にあり、ここ20年間で約4分の1となる7073人(2020年)となりました。
その影響もあってか、看護職養成全体の中で見ても、准看護師養成の占める割合は、2020年現在において12%のみです。

出典:総務省統計局/独立行政法人統計センター「政府統計の総合窓口(e-Stat)

卒業状況

准看護師学校養成所の卒業者数は入学時の約82.5%となっています。
つまり2割弱の入学者が退学などの理由で卒業できていません。
卒業後の進路を見てみると、新卒者として准看護師に就業する割合は66%のみです。
准看護師学校養成所を卒業してもすぐに就業するのではなく、進学を決めた割合は26%となっています。
残り8%のうち、准看護師以外の職に就いた割合は1.3%です。

出典:総務省統計局/独立行政法人統計センター「政府統計の総合窓口(e-Stat)

准看護師と看護師の違い

准看護師は、看護師とほぼ同様の仕事内容を行う職種ですが、明らかな違いがいくつかあります。
ここでは、看護師と准看護師の明確な違いについていくつかご紹介します。

仕事内容

基本的な仕事内容は、准看護師と看護師にほとんど違いはありません。
しかし、准看護師は看護師と違って自分の判断で業務を行うことができません。
つまり、医師や歯科医師、看護師らの指示を受けなければ、准看護師は業務を遂行できないのです。
また、准看護師から看護師へ指示を出すこともできません。

資格取得

看護師は厚生労働大臣の免許ですが、准看護師は都道府県知事の免許です。
つまり、看護師の中に正看護師と准看護師があるのではなく、看護師と准看護師は資格からして全くの異なる職種であることがわかります。

資格取得のために通う学校にも違いがあり、看護師ならば看護師学校養成所、准看護師であれば准看護師学校養成所を卒業します。
もちろん、准看護師学校養成所を卒業後に看護師を目指すことは可能です。
しかし2つの学校養成所を卒業することになるため、時間がかかり遠回りです。
このケースでは、最長11年かかってしまうためおすすめはできません。

教育の考え方

准看護師と看護師では、学校養成所における教育の考え方にも違いがあります。
看護師は自ら計画・判断した上で実践することが前提となる教育であり、准看護師は受けた指示に従って行動することが前提となる教育が行われます。
そのため、取得単位数も准看護師は看護師に比べて少なくなります。

出典:厚生労働省「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン

給料

ここでは、准看護師と看護師の給与を比較してみましょう。
21歳から65歳まで勤務した場合、どちらも年齢を重ねるに従って給与も右肩上がりに増加していきます。
しかし、准看護師は看護師と比べて給与は低くなり、どの年齢で比較しても毎月6~9万円前後の差が生まれています。
もちろん勤務先にもよりますが、一般的な勤め先であれば賞与を除いた生涯賃金には約4,000万円の差が出る傾向にあります。

出典:人事院「民間給与の実態/職種別、年齢階層別平均支給額

准看護師の仕事先

准看護師

准看護師の仕事先にはさまざまなものがありますが、主なものとしては病院、診療所、介護保険施設等があります。
ここでは、それぞれどのような職場であるのかを紹介していきます。

病院

病院は准看護師の4割弱が働いている仕事先です。
医師や看護師の指示を受けて、診療のサポートや患者の心と体のケアを行います。
例えば多くの患者が生活する病棟であれば経験を積みやすいため、看護技術などのスキルを身に着けやすいです。

また、夜勤手当が上乗せされると給与支給額もアップするため働きがいがあります。しかし、病棟は患者の容態が急変したときに自発的に動ける看護師を優遇するところも少なくありません。
そのため、准看護師の募集をしない方針の病院もあるため注意しましょう。

出典:厚生労働省「令和2年_衛生行政報告例_就業医療関係者_概況

診療所

診療所は准看護師の3割強が働いている仕事先で、病院についで人気があります。
病院と同様に、業務範囲は看護師とほとんど変わりません。
規模の小さい診療所の場合は受付や会計、予約対応、清掃、診療準備など多くの雑務をこなす場合もあります。

また、病棟と異なり街の診療所はほとんどが無床診療所です。
そのため夜勤はなく日勤のみというケースが少なくありません。
病院よりも医師との距離が近く、指示を受けやすいことから、診療所では准看護師を積極的に募集する傾向にあります。

出典:厚生労働省「令和2年_衛生行政報告例_就業医療関係者_概況

介護保険施設など

准看護師の2割強が働いているのが、介護施設です。
高齢化社会が進む日本では、介護施設の数も増加傾向にあります。
介護施設では服薬管理や薬の塗布、往診・受診の付き添いなどを行います。
利用者たちの健康管理を担うのも業務内容です。
また、入浴・食事・排泄の介助を行うのも准看護師の役割であり、業務内容は多岐にわたります。

夜勤の有無や頻度については、その施設により異なります。
医療ケアに注力している施設の場合は、医療従事者の24時間常駐を売りにするため、夜勤が多くなります。
もちろん夜勤があれば手当もつきますので、給与アップという意味では嬉しいところです。

准看護師の募集を行っているところも多いため、近年は人気があります。

出典:厚生労働省「令和2年_衛生行政報告例_就業医療関係者_概況

准看護師で対応できる範囲を把握しておきましょう

学校養成所への入学者数が年々減少傾向にあることや、看護師と違って自分の判断で業務を行えないことから、准看護師は人気がないのかも、と感じる方もいるかもしれません。
しかし、高齢化社会が進み医療従事者の人材確保が難しくなっている昨今において、准看護師は貴重な人材でもあります。
病院、診療所、介護施設などでの募集は多くあります。
准看護師ができる業務の範囲、必要とされている現場を把握すれば、まだまだ活躍できる職種といえるのではないでしょうか。