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大人と小児では違う?バイタルサインのチェック・測定方法について知ろう

看護師として患者さんに接する機会が多い職場で働く場合、何度もバイタルチェックをすることになります。
そのため、バイタルサインの測定やその方法について、基本的な知識を押さえておきたいものです。

本記事では、バイタルサインの概要や目的、測定方法、大人と小児それぞれの測定時のポイントについて解説します。

バイタルサインとは

バイタルサイン(vital sign)とは、日本語で「生命兆候」のことです。
脈拍・呼吸・体温・血圧・意識レベル、救急医療現場やICUなどでは尿量も計測します。
それらを数値化することで、患者さんの健康状態や容体の変化を客観的に知ることができます。
現場では「バイタル」と略すことや、頭文字を取って「VS」と呼ぶこともあります。

準備する物

バイタルサインは前述の通り、脈拍・呼吸・体温・血圧・意識レベル、必要に応じて尿量を測定します。
これらを測定して数値化するために、必要に応じて以下のようなものを準備します。

  • 聴診器
  • 秒針付きの時計
  • 体温計
  • 血圧計
  • アルコール綿
  • ベッドサイドモニタ

【大人】バイタルサインのチェック・測定方法

まずは、大人の患者さんにおけるバイタルサインの測定の流れや順番、ポイントについて解説します。

測定までの流れ

バイタルサインを測定する前に、必ず患者さんへ説明を行いましょう。
事前に説明することで患者さんは安心することができ、数値も安定するためです。
もし何らかの理由で拒否された場合は、無理に測る必要はありません。
興奮してしまうと血圧や熱などが上がってしまい、正常な数値が測れないためです。
少し時間を置いてから許可を取り、安静な状態で測定しましょう。

出典:厚生労働省「在宅療養技術指導マニュアル

バイタルサインで測る項目と順番

バイタルサインでは、呼吸・体温・血圧・脈拍・意識レベル、さらに必要に応じて尿量を測定します。
測る順番については特に決まりはありませんので、状況に応じて柔軟に測定しましょう。
たとえば患者さんによっては、測定のために服を脱がす必要がある、体勢を変えなくてはいけない場合があります。
患者さんの状態や測りやすさなどを考慮して測定を進めてください。

出典:厚生労働省「在宅療養技術指導マニュアル

測定のポイント

バイタルサインを測定する目的は、患者さんの健康状態や容体の変化を把握することです。
バイタルサインの数値変化を知ることで、異常の兆候を早期に発見することができます。
そうした目的があることから、バイタルサインを測定する際には、各測定項目の基準値を事前に知っておくことがポイントとなります。

バイタルサイン(体温・脈拍・呼吸)の基準値の目安は以下の通りです。

  • 体温:36.0~36.9℃
  • 脈拍:50~80回/分
  • 呼吸:14~20回/分

上記はあくまでも基準値の目安です。
実際には患者さんごとに数値が異なりますので、平常時の数値を把握し、その変化をみていくことが大切です。

出典:厚生労働省「在宅療養技術指導マニュアル

【小児】バイタルサインのチェック・測定方法

続いて、小児のバイタルサイン測定について、その流れや方法、ポイントを解説します。

測定までの流れ

大人と同じように、バイタルサインを測定することを、患児へ言葉で伝えましょう。
小児の場合、大人よりも生理機能が未熟であるため、バイタルサインが変動しやすい傾向にあります。
そのため、わかりやすく伝えることはもちろん、遊びを交えたり親しみを込めて接したりすることで、測定前に安心させてあげることが大切です。

バイタルサインで測る項目と順番

小児の場合も、大人と同様に呼吸・体温・血圧・脈拍・意識レベル、さらに必要に応じて尿量がバイタルサインの測定項目です。
測定順番についても決まりはありません。
ですが、小児は身体に直接触れられる測定を嫌がる・恥ずかしがるといったことがあります。
場合によっては泣き出してしまうケースもありますので、接触の少ない測定から進めていくのが一般的です。
お子さんの状況に合わせて柔軟に対応しましょう。

測定時のポイント

大人と違って小児は外からの刺激を受けやすく、バイタルサインの数値も変動しやすいものです。
なるべく落ち着いた状態で測定するために、測定時のポイントをご紹介します。

わかりやすい言葉で説明する
小児にとって怖いことは「何をするのかわからない・知らない」ことです。
そのため、バイタルサインの測定時も治療やケアと同じように、事前に説明してあげてください。
わかりやすい言葉で伝え理解を得られれば、小児の恐怖心を和らげることができ、数値も正常に測りやすくなります。
測定方法の説明はもちろん、場合によっては測定機器に触れてもらうなどしてみてもよいかもしれません。

身体に触れる機器・器具を温めておく
小児は外部からの刺激にとても敏感です。
そのため、身体に触れる機器・器具は事前に人肌程度に温めてあげましょう。
たとえば、聴診器は直接肌に触れるもので、冬場などはかなり冷たく感じます。
冷たい刺激を痛みと勘違いして泣き出してしまう子もいますので、手のひらなどを使って温めておくのがおすすめです。

年齢に応じた機器・器具を使用する
大人と比べて小児は身体が小さいものです。
たとえば、大人用のマンシェットだと腕に対して大きすぎて、血圧が低く測定されてしまうことがあります。
そのため、マンシェットをはじめ、バイタルサインを測定する際の機器・器具は年齢に合ったものがあれば、それを使用するようにしましょう。

測定終了後に褒めてあげる
健康状態の把握や容体の変化を知るために、バイタルサインは毎日定期的に測定することが大切です。
しかし小児がバイタル測定に対して「面倒なもの」「嫌なもの」といった印象を持ってしまうと、定期的な測定を行いにくくなります。
そういった事態にならないためにも、バイタル測定後は自然に褒めてあげてください。
また、日頃から患児と親しくコミュニケーションを取ることも、バイタル測定もスムーズに進めるのに有効です。

バイタルサインの測定で患者さんの健康管理や異常の早期発見

バイタルサインは患者さんの健康状態や容体の変化を、数値で客観的に知ることができるものです。
まずは基準値を目安としつつ、患者さんごとに平常時の数値を把握しておきましょう。
その上で定期的に測定すれば、目視だけでは判断しきれない些細な変化も知ることができ、異常の早期発見につなげられます。

また、大人と小児では身体的・精神的にさまざまな違いがあります。
正確に数値を測定するためにも、個々の患者さん・患児にあった流れで測定を進めていきましょう。