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介護現場で起こった事故報告書の提出基準は?書き方を知っておこう

介護施設では事故が起こらないように配慮しなければなりません。
しかし、心身ともに機能が低下している高齢者の方が多くいるため、事故が発生してしまう可能性はあるものです。
そうしたとき、介護施設で必ず行わなければいけないのが、事故報告書の作成です。

本記事では、介護現場における事故報告書の概要、報告書の提出期限や書式、書き方のポイントを解説します。

介護現場の事故報告書とは

介護の現場では高齢者へのサービスだけでなく、さまざまな書類の作成も行わなければなりません。
事故発生時には事故報告書を作成することも、介護現場においてとても大切な仕事です。
介護現場の事故報告書とはどのようなものなのか、以下で解説していきます。

事故報告書を作成する目的

心身の機能が低下している高齢者へサービスを行う介護施設では、どこの事業所でも事故が起こり得るものです。
だからこそ、事故の発生リスクを最大限減らすことが大切です。
介護現場の事故報告書作成には以下のような目的があります。

介護事故の発生や再発防止
介護事故報告書は、介護事故の発生や再発を防止する目的で作成されます。
過去の事例を把握・分析できるため、より良い介護サービスのあり方や改善策を考えられます。
報告は自治体ごとに行われ、その内容は広く共有されます。
どんなに小さい事故報告であっても、全ての介護施設にとって事故発生や再発防止に役立つ資料となることでしょう。

介護サービスの質の向上
事故報告書があれば、その詳細をスタッフ全員が把握できます。
報告書を活かしてスタッフで協議を行ってその内容を意識すれば、事故の再発防止だけでなく、介護サービスの質を向上させることにつながることでしょう。

情報開示と隠ぺい防止
報告書があることで、事故の経緯や原因を市町村やご家族へスムーズに説明できます。
万が一訴訟になった際にも、情報開示の役割を持つ報告書があることで、事業所やスタッフを守る役割も果たせるでしょう。
また、事故発生の隠ぺいを防止し、苦情や誹謗中傷などを最小限に抑える効果もあります。

事故報告は義務付けられている

介護現場の事故報告は法令上義務付けられているものです。
たとえば、介護老人保護施設では、「入所者に対する介護保険施設サービスの提供により事故が発生した場合は、速やかに市町村、入所者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。」
引用:厚生労働省「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999407&dataType=0&pageNo=1
と定められています。

介護現場の事故報告書の提出基準や期限

ここでは、事故報告書を提出するのはどのようなときか、厚生労働省老健局や自治体によって定められた提出期限の基準について紹介していきます。

提出基準

厚生労働省老健局の「介護保険最新情報」では、以下のように明記されています。

・下記の事故については、原則として全て報告すること。
①死亡に至った事故
②医師(施設の勤務医、配置医を含む)の診断を受け投薬、処置等の何らかの治療が必要となった事故
・その他の事故の報告については、各自治体の取扱いによるものとすること。
引用:厚生労働省「介護保険最新情報」
https://www.mhlw.go.jp/content/000763797.pdf

死亡または治療が必要になった事故については、全て報告対象となります。
また、自治体によっては、独自の報告基準を設けているケースもあります。
事前に確認しておきましょう。

提出期限

介護現場にて事故が発生した場合、その第一報は5日以内に提出することが義務付けられています。
短期間での提出となるため、事故の検証や事業所での対応方法、原因分析などが十分に行われていないこともあるでしょう。
詳細については改めて報告する形で構わないので、まずはどのような事故が発生したかを速やかに報告しましょう。

提出しなかった場合の処分

介護現場における事故報告書の提出は、法令上で定められている義務です。
提出期限を過ぎたり提出しなかったりすれば、行政指導が入ります。
また、介護報酬の減算や指定取り消し、運営停止などの処分を受ける可能性もあります。
行政指導や処分を受けないためであることはもちろん、事業所としてご家族や地域の方々へ誠意ある対応をすることはとても大切です。
期限を守って必ず事故報告書を提出しましょう。

介護現場の事故報告書の書き方

事故報告書

ここでは、介護現場の事故報告書の書き方について紹介していきます。

厚生労働省が公開している統一書式を使用する

厚生労働省にて、介護現場の事故報告書の様式が公開されていますので、それを用いて報告書を作成しましょう。
事故状況や対象者、事故発生時の対応など全9項目を記載します。
ただし、第一報については1~6までの項目を可能な限り記載して5日以内に提出します。
第二報は9項目全て記載して提出します。

5W1Hを意識してわかりやすく書く

事故報告書は、「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ」という5W1Hを意識して書きましょう。
特に事故発生状況については、5W1Hを意識して書くことで、「いつどの場所で、どういう人がどんな事故を起こしたのか」がわかりやすくなります。

事実を客観的に書く

事故報告書は、主観を入れずに客観的に書くことが大切です。
主観が入ってしまうと、実際の事故と報告内容に齟齬が生じる可能性があるためです。
また、事故報告書は単に発生した事故を自治体へ報告するだけの書類ではありません。
提出後に情報共有され、事故の発生・再発防止やサービスの質向上に役立てるものです。
多くの人が目を通すものになりますので、誰が見てもわかるように、客観的事実を書くことが大切です。
文章だけで難しいようであれば、写真や動画などを用いて客観性をもたせるようにしましょう。

事故報告書は速やかに作成しましょう

介護現場における事故報告書は、事故が発生した際に作成・提出が義務付けられているものです。
今後の事故発生・再発防止はもちろん、サービスの質向上にも役立つものなので、速やかに作成しましょう。