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ケアミックス病院で看護師として働くメリット。その他の病院勤務との違いとは?

ケアミックス病院という言葉は知っているものの、実際にどのような機能を持つ病院なのか知らない看護師も少なくないのではないでしょうか。
「ケアミックス病院は急性期病院ほど忙しくないと聞いたけど……」このような漠然としたイメージのまま就職を決めてしまうと、失敗してしまうかもしれません。

本記事では、ケアミックス病院とは何なのか、他の病院との違い、ケアミックス病院の仕事内容、働くメリット・デメリットなどについて解説します。

ケアミックス病院とは

ケアミックス病院には明確な定義はありませんが、厚生労働省の調査資料によれば、「一般病床と療養型病床または精神病床の混合型である」とされています。
同調査では成り立ちとして、一般病棟であったものが療養型病床や精神病床へ転換したものがメインであると考えられています。
厚生労働省ではケアミックス病院を上記の通りに捉えています。

しかし、一般的には「複数の病床機能を併せ持つ」「急性期医療や慢性期医療に対応している」と、幅広く捉えられています。
つまり、急性期から慢性期の治療やケア、療養、在宅復帰支援、看取りまでと広くカバーしている病院がケアミックス病院となります。
転院することなく、患者さんの状態や意思に合わせて幅広く対応対応できるのが、ケアミックス病院の大きな特徴です。
看護師にとっては、一般病棟に比べて幅広く経験を積めるメリットがあります。

出典:厚生労働省「ケアミックス病院

他の病院との違い

ケアミックス病院と他の病院では、どのような違いがあるのでしょうか。
急性期病院では、緊急・重症な状態にある患者さんの治療を行うため、高度で専門的な医療体制が整えられています。
そのため、国立病院、大学病院、高度救命救急センターなどを始めとする、地域の基幹病院が急性期病院とされます。
治療により患者さんの状態が安定したならば、転院するのが一般的です。

慢性期病院では、患者さんに継続的な治療やリハビリ・ケアを行います。
急性期病院と違って、状態がある程度安定している高齢者や長期入院の患者さんが多いのが特徴です。
このように、急性期病院では緊急・重症な状態の患者さんの治療を、慢性期病院では状態が安定している患者さんへのリハビリやケアを中心に行います。
一方でケアミックス病院では、患者さんの状態に合わせて急性期病院のような治療を行うこともあれば、リハビリやケアを中心に行うこともあります。

ケアミックス病院で働く看護師の仕事内容

看護師

一般病院と同様に、ケアミックス病院で働く看護師の仕事は、どの病棟に配属されるかで内容が変わります。

一般病棟

一般病棟では、急性期の患者さんの看護をメインに行い、点滴や注射、採血などの医療処置を行うケースが増えます。
また、手術をされる患者さんの術前・術後ケアを行うこともあります。
とはいえ、ケアミックス病院は高度な急性期機能を持つところは少ないため、急性期病院ほど慌ただしくなることは少ない傾向にあります。
医師の指示に従い、確実に仕事をこなすことが大切です。

回復期・慢性期病棟

回復期や慢性期、リハビリ病棟の場合は患者さんのケアを行うことがメインです。
服薬管理や食事・排泄介助、血圧・体温測定など仕事内容は多岐にわたります。
入浴介助や体位変換など、体力を必要とする仕事も多くなるのが特徴です。
高齢者や長期入院の患者さんも多いため、直接的なケアだけでなくコミュニケーションによる心のケアも必要とされます。

ケアミックス病院で働く看護師の年収事情

前述の通り、ケアミックス病院の明確な定義はなく、年収を調査した資料もありません。
しかし、ケアミックス病院は勤務形態が一般病院と大きな差がないことから、年収についても大きな違いはないと考えられます。
日本看護協会の「2021年 看護職員実態調査」によれば、看護職員全体の平均給与は279,326円とのことです。
平均給与総額は384,546円なので、年収としては600万円前後であると予測できます。
ただし、地域や施設ごと、夜勤回数や各種手当によっても支払われる給与には違いがあります。
実際の給与・年収については、募集要項を確認しましょう。

看護師がケアミックス病院で働くメリット・デメリット

ケアミックス病院で看護師として働くメリットとデメリットについて、それぞれ解説します。

メリット①:看護経験を幅広く積みやすい

ケアミックス病院は、急性期・回復期・慢性期などさまざまな機能を持つ病棟を備えています。
そのため、1つの病院で幅広い看護経験を積みやすいことがメリットです。
また、患者さんも転院することなく、状態に応じて院内で転棟します。
長期的な視点で看護を実践できる点も、看護師にとっては良い経験となることでしょう。
このように看護師として幅広く多くの経験を積めることは、将来のキャリアアップにもつながります。

メリット②:スキル・ライフスタイルで働き方を変えやすい

ケアミックス病院では、看護師のスキルやライフスタイルに合わせて配属先を考慮してもらいやすい傾向にあります。
たとえば一般病院の場合、忙しい急性期病院で働いているものの育児や介護などの理由で、慢性期病院へ転職するケースが少なくありません。
しかしケアミックス病院ならば、病院内の異動のみで対応できます。
これはさまざまな機能の病棟・部署があるケアミックス病院ならではのメリットです。

メリット③:ブランクがあっても働きやすい

ケアミックス病院の回復期病棟や慢性期病棟では、患者さんの緊急度は高くないため、落ち着いて業務を進められます。
また、高度な急性期機能を持つケアミックス病院はそれほど多くないため、急性期病棟でも比較的落ち着きがあります。
そのようなことから、ブランクがある方でも比較的働きやすい環境であるといえます。
ブランクはあるものの将来的に急性期病棟で働きたい、という方にも向いています。

デメリット①:興味・関心のない部署へ配属される可能性

ケアミックス病院は幅広く経験を積めることがメリットです。
しかしその一方で、意図しない配属先に異動しなければならない可能性もあります。
配属先は看護師のスキルや希望などを考慮されることがほとんどです。
しかし病院によってはすでに希望する部署の人員が多く、配属されにくいこともあります。
面接時に自分の希望が通るかどうかについて、確認しておくようにしましょう。

デメリット②:専門性を高めにくい傾向にある

ケアミックス病院はさまざまな機能を持つため、幅広く経験を積めることが大きなメリットです。
その一方で、専門性を高めにくいというデメリットもあります。
たとえば回復期病棟は、急性期病棟と比べるとそこまで高度な機能を持っておらず、症例数が少ないことがほとんどです。
また、病院の都合により学びの途中で異動になることもあります。
そうしたことから、幅広い経験を積めるものの専門性を高めにくい傾向にあります。

デメリット③:病院により違いが大きい

ケアミックス病院はその病院によってさまざまな特色があります。
たとえば、急性期に力を入れるところもあれば、療養メインで長期入院患者が多いところもあります。
実際に働いてみると、ケアミックス病院ではあるものの、偏りがあることは珍しくありません。
病院見学や面接を通して、実際に自分の希望や関心にあっている病院であるかどうか、しっかり確認するのがおすすめです。

ケアミックス病院への就職・志望動機のポイント

履歴書

これまで解説したように、ケアミックス病院は急性期から慢性期まで、さまざまな患者さんへの看護を経験できるところです。
ケアミックス病院への就職を希望する場合、そうした特徴を理解した上で志望動機をまとめるようにしましょう。
たとえば、「これまで学び経験したスキルを活かしつつ、新たな学びを得たい」といった形であれば、ケアミックス病院にマッチする人材と捉えられやすいでしょう。

幅広く長期的な視点で看護を経験・実践したい方におすすめ

ケアミックス病院には急性期・回復期・慢性期といった、幅広い患者さんに対応した機能を持つ病棟があります。
そのため、ケアミックス病院で働けば、幅広い看護を経験することができるでしょう。
そのような特色から、スペシャリスト志向よりもジェネラリスト志向の方に向いている職場です。
また、急性期病棟から回復期病棟への転棟まで、患者さんのケアを切れ目なく実践できるのもケアミックス病院の特徴です。
一般病院では経験できない長期的視点の看護にやりがいを感じられる、興味がある方はぜひケアミックス病院で働くことをご検討ください。