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企業で働く産業保健師。業務内容とメリットを解説

保健師は予防医療のエキスパートとして、関わる人々の保健指導や健康管理を行う職種です。
その中でも企業に属して働く保健師のことを「産業保健師」といい、産業保健師は健康経営の中心的役割を果たす存在として注目され、大企業を中心に設置する企業が増えています。
保健師にとってもメリットが多いため、産業保健師は人気があります。

本記事では、産業保健師とはどのような職種なのか、業務内容や産業保健師として働くメリット、産業保健師の収入などについて解説します。

産業保健師とは

産業保健師とは、企業で働く保健師のことです。
保健師は保健師助産師看護師法により「保健指導に従事することを業とする者」とされています。
つまり、産業保健師は属している企業の社員の健康管理や保健指導を行い、予防医療をメインに業務を行う職種です。

産業保健師と産業医の違い

産業保健師と同じく、企業で働く医療従事者には「産業医」という職種があります。
一見似ているように思われますが、法的な面や社員との距離などに違いがあります。
ここでは、具体的に産業保健師と産業医の違いについて解説します。

法的に明確な違いがある

産業保健師と産業医では法的に明確な違いがあります。
労働安全衛生法第13条では、事業者は規模に応じて産業医を選出しなければならないと定めています。

厚生労働省では、以下のように指導しています。

  • 労働者数50人以上、3,000人以下の規模の事業者:1名以上の産業医を選任
  • 3,001名以上の規模の事業者:2名以上の産業医を選任
  • 常時1,000人以上の労働者を使用する事業場:専属の産業医を選任

このように、産業医は一定以上の規模の事業者であれば設置する義務が生じます。
一方、産業保健師の設置は義務とされておらず、産業医とは法的に明確な違いがあります。

出典:e-gov「労働安全衛生法
出典:厚生労働省「産業医について~その役割を知ってもらうために~

身近な医療従事者である

産業医は社員が何らかの不調を感じて面談を希望する場合や、健康診断で異常があると判断された場合などに、はじめて対応できます。
しかし、不調はあるものの面談対象の基準に達しない場合は、対応するのが難しくなります。

一方、産業保健師は企業に属して健康の窓口として機能する職種です。
そのため、軽度の不調であっても社員は相談することができ、アドバイスを受けられます。

また、隠れた問題があれば早期発見も可能です。
このことから、産業保健師は産業医と比べると、社員にとっては身近な存在であることがわかります。
いわば、企業で働く社員にとって健康をサポートする頼れる存在といえるでしょう。

産業保健師の業務内容

産業保健師はその知識や技術を生かして社員の健康を守ります。
業務内容を大まかに整理すると、以下の通りです。

  • 健康診断
  • 衛生委員会
  • セミナー
  • メンタルヘルス相談、ストレスチェック

社内にて定期的に健康診断を実施してその結果のデータ整理をおこない、衛生管理者と連携し、衛生委員会にて中心的な存在として専門的見地から意見を述べます。

また、従業員の健康促進や病気の予防などを目的にセミナーや講演会を開くこともあります。
過重労働やメンタルヘルス対策、ストレスチェックを行い、必要があれば面談を行うことも産業保健師の仕事です。
このように、産業保健師は企業内の健康促進・予防の中心的存在となるため、業務内容は多岐にわたります。
忙しさはありますが、やりがいはあるといえるでしょう。

産業保健師の年収

同じ保健師でも、行政保健師の場合は公務員であり年収は安定しています。
しかし、産業保健師の場合はキャリアや経験、企業の評価などにより大きく変動します。
例えば、産業保健未経験よりも、産業保健経験者の方が年収は高い傾向にあります。
もちろん、規模が大きく業績が安定している企業であれば年収は高くなることでしょう。

保健師全体で見た場合、平均年収は約481万円です。
キャリアがあって待遇の良い企業であれば、年収500万円以上となるケースもあります。

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査

産業保健師として働くメリット


企業で働く産業保健師は、他の職場で働く保健師にはないさまざまなメリットがあります。
ここでは、産業保健師として働くメリットについて解説します。

休みを確保しやすい

産業保健師は企業に合わせて休日を取れます。
一般的な企業であれば、土日祝を公休としているケースが多く、カレンダー通りに休みを確保しやすいのが特徴です。
もちろん、社員たちとあわせてゴールデンウイークや年末年始などの長期休暇も取得できます。
プライベートな時間を大切にしたい方や休日は家族と過ごしたいという方にとって、休日を確保しやすいことは大きなメリットとなることでしょう。

無理なく働きやすい

産業保健師は休日だけでなく、業務時間も勤務先である企業に合わせます。
企業にもよりますが、9時から18時くらいの勤務時間となることが多いです。
また、基本的に夜勤はなく、デスクワークがメインとなります。
産業保健師は休日もあり業務時間も一定で、残業もほぼありません。
そのため、生活リズムを整えやすく、体調管理もしやすいです。
身体的・精神的な負担が少ないため、働きやすいことはメリットといえるでしょう。

待遇面が手厚い

産業保健師は企業に属する保健師であり、収入を含めた待遇面は社員たちと同等になります。
例えば、規模の大きい企業であれば社員たちは高収入であることが多く、産業保健師も高収入となります。
産業保健師は設置義務がなく、中小企業よりは大企業が設置していることが多いです。
そのため、産業保健師は高収入を得やすい傾向にあります。
経験やキャリアによってはさらなる年収アップも期待できます。
また、産業保健師は他の保健師と比べると福利厚生も充実している傾向にあります。

産業保健師は社員の健康を守る中心的な存在

産業保健師は産業医とともに、社員の健康維持や改善をサポートする存在です。
社員にとっては産業医より身近な存在であることから、社員の健康促進において、産業保健師の役割は大きくやりがいがあります。
また、産業保健師は休みを確保しやすく負担の少ない働き方ができ、高収入も期待できる職種です。
企業によってさまざまな条件が提示されていますので、興味があればぜひ目指してみましょう。