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看護技術の罨法(あんぽう)を習得しよう!温罨法と冷罨法の違いを解説

罨法は基礎的な看護技術のひとつで、身体を温める「温罨法」と身体を冷やす「冷罨法」があります。
看護師自身の判断で実施できるため、患者さんの希望を受けて罨法を行うケースもよくあります。
患者さんの安楽のために実施されることが多いため、看護師であれば必ず知っておくべき技術です。

本記事では、罨法の概要と温罨法・冷罨法それぞれの特徴と注意点について解説します。

罨法(あんぽう)とは

罨法は身体の一部を温めるまたは冷やして、体温を保持または変化させることで、炎症・充血・疼痛などを緩和させる看護技術のひとつです。
罨法は医師の指示がなくても看護師の判断で実施でき、病状の好転や、患者の自覚症状や不快感を和らげることを目的に行います。
罨法には患部を温める「温罨法(おんあんぽう)」と、患部を冷やす「冷罨法(れいあんぽう)」の2種類があります。
それぞれの罨法には緩和させたい症状、使う道具に違いがあります。
また、実施の際の注意点もあるため、患者さんの状態や場面に合わせて正しく使い分ける・管理することが大切です。

温罨法とは

温罨法は身体の一部に温かい刺激を与える看護技術です。
治療の一環として医師が指示する場合もあれば、看護師の判断にて行う場合もあります。
また、温かい刺激を与えることで気持ちをリラックスさせることができるため、患者さんの希望により温罨法を行う場合もあります。
寒い時期などは特に患者さんから湯たんぽを希望されることが増えます。
温罨法で用いる道具には大きく分けて、乾いたものである「乾性」、湿ったものである「湿性」の2種類があります。

乾性の道具

  • 湯たんぽ
  • カイロ
  • 電気毛布 など

湿性の道具

  • 温湿布
  • ホットパック
  • 温パップ など

乾性のものより湿性のものの方が熱伝導率は高く、温かく感じやすい傾向にあります。
さらに、湯たんぽの場合はゴム製・金属製・プラスチック製があり、素材によって身体への密着度や熱伝導率に違いがあります。
道具それぞれに特徴があるため、患者さんや症状に合わせて使い分けると良いでしょう。
医療施設においては、湯たんぽやホットパックを用いることが多いです。

温罨法で気をつけるポイント

温罨法では熱傷に気をつけましょう。
熱傷は60〜65℃以上の温熱刺激が皮膚に加わることで起こります。
熱傷リスクを回避するためにも、熱すぎる道具で刺激を加えないようにしましょう。

ちなみに40〜45℃程度の温度でも低温熱傷のリスクがあります。
心地よいと感じていたとしても、長時間にわたって温熱刺激を与え続けることは避けましょう。
患者さんによっては、意識障害・知覚鈍麻などにより熱さを正しく感じられない場合があり、気が付いたときには熱傷を負ってしまう恐れがあります。

温罨法は、看護師が継続して監視できる場合にのみ行うことが大切です。
また、患者さんによっては温罨法を避けるべきと判断される場合もあります。
出血傾向がある、急性期の炎症を起こしている、関節リウマチなどの患者さんには禁忌となるのでご注意ください。

また、患者さんの状態や道具に破損や汚染がないかを確認します。
そして道具の温度を確認して、危険がないかを確認します。
温罨法中は患者さんの状態を見て、皮膚の状態や発汗・発熱の有無、症状の悪化はないかなどを確認しましょう。

冷罨法とは



冷罨法は、大きな動脈のある部位や炎症部位に冷たい刺激を与える看護技術です。
クーリングとも呼ばれ、医師の指示や看護師の判断で行います。
冷罨法で用いる道具は温罨法と同じように大きく分けて、乾いたものである「乾性」、湿ったものである「湿性」の2種類があります。

乾性の道具

  • 氷枕
  • 氷嚢
  • アイスパック など

湿性の道具

  • 冷湿布
  • 冷パップ など

湿性のものは乾性のものよりも熱伝導率が高いため、冷たさが伝わりやすいです。
患者さんの状態や目的によって道具を使い分けましょう。
医療施設では、氷枕やアイスパックを使用することが多いです。

冷罨法で気をつけるポイント

冷罨法は患者さんの状態によってはリスクがあります。
例えば、循環障害、血栓を形成しやすい、寒冷蕁麻疹といった患者さんに対して、冷罨法により冷たい刺激を与えるのは危険です。

また、温罨法と同様に意識障害や知覚鈍麻がある患者さんは冷たさを感じにくく、冷罨法によって凍傷になるリスクがあります。
看護師が継続して観察できない状況であれば、冷罨法を実施すべきではありません。

さらに、発熱時の冷罨法も注意が必要です。
体温上昇期に解熱を目的に冷罨法を行ってしまうと、症状を悪化させるリスクがあります。
冷罨法を実施するのであれば、体温がセットポイントに到達し、悪寒がなくなって熱感を生じるようになってからにしましょう。
そのタイミングであれば、冷たい刺激により患者さんの苦痛が緩和されやすくなり、冷罨法を行う意味があります。

冷罨法を行う場合は、患者さんの状態を必ず確認しましょう。
そして道具に破損・汚染がないかをチェックします。
また、水滴がでますので道具をカバーまたはタオルで覆うことも忘れないようにしましょう。

また、冷罨法中は患者さんの状態を定期的にチェックしましょう。
悪寒などはないか、顔色は悪くないか、症状が悪化していないかをみてください。
また、冷罨法では道具から水漏れする場合もあります。
常に道具の状態を確認し、温度管理も徹底しましょう。

罨法は患者さんの状態に合わせて実施・管理しましょう

罨法は医師の指示だけでなく、看護師の判断や患者さんからの希望により行うことができる看護技術です。
温かい・冷たい刺激を身体に与えることで、症状緩和などの効果が期待できます。
そして患者さんの不快感を取り除き、リラックスしてもらうことが目的となります。
そのため、患者さんの状態に合わせて温罨法・冷罨法を正しく使い分けることが大切です。

また、温罨法・冷罨法は患者さんの症状により禁忌となる場合があります。
禁忌ではない場合でも、温めすぎれば熱傷リスクがあり、冷やしすぎれば凍傷リスクがあります。
実施する場合は患者さんの状態を定期的に確認することが大切です。
もし罨法を実施して良いかどうか判断できない場合は、他の看護師や医師に相談しましょう。