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介護報酬の改定内容の1つ「自立支援・重度化防止の取組の推進」

厚生労働省の出した「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」の3項に、「3.自立支援・重度化防止の取組の推進」の項目が設けられています。
本記事では、こちらの内容を解説していきます。

「なんでもやってあげること」は介護ではない

介護を仕事にしている人ならばだれもが知っていることではありますが、「なんでもやってあげること」は介護ではありません。

介護が目指すのは、「できるだけ自立した状態が長く続くこと」「重度化を防ぐこと」です。
もちろん、その人に合ったケアプランを提供していくことは必要ですが、「がんばればできること」までやってしまうと、結局はその人にとって「できないこと」が増えて行ってしまう結果になります。

このため介護においては、「できないことをサポートしつつ、重度化しないようにアプローチすること」が必要となってくるのです。

今回の改定が目指すもの

「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」では、

・リハビリテーションや機能訓練、口腔や栄養の取組の連携や強化
・介護サービスの評価と、科学的介護の取組の推進
・寝たきりの防止など、重度化防止の取組の推進
を掲げています。

以下では、こちらの内容の一部を深ぼって紹介していきます。

リハビリテーションや機能訓練、口腔や栄養の取組の連携や強化

今回の改定で見直された点のなかでも大きいのは、「管理栄養士や歯科衛生士が必要に応じて会議すること」が、加算などの算定要件の一部とされているところです。

また今までは、週に6回を限界としていた訪問リハビリが、退院・退所日から起算して3か月以内に限っては週に12回までとするという変更も加えられました。

それ以外にもさまざまな改定が行われていますが、「加算条件」が改定前よりも緩くなった点には注目したいものです。

介護サービスの評価と、科学的介護の取組の推進

データを共有し、それをフィードバックするPDCAサイクルの推進がより一層進められるようになりました。
データによる介護サービスの構築という考え方は、今後も広まっていくものと思われます。

ADL(日常生活動作)維持のための加算についても、条件の見直しが行われました。
ADL維持に積極的に取り組む業者がより評価されやすくなったのも、注目すべき点です。

また、老健施設を利用されている方が、在宅復帰ができるようにするための取組が行われるなどの施策もとられるようになりました。

寝たきりの防止など、重度化防止の取組の推進

寝たきりになることを怖がる人は多いものです。
今回の改定でもこのあたりが深く言及されています。

医学的な観点から現状の評価・分析を行い、それをケアプランに反映していくスタイルが強く求められるようになりました。
またこのときに得られたデータを、上で挙げた「PDCAサイクル」にのせることで、データベースの充実も図れるようになると考えられています。

寝たきりの方にとって大きな問題となりうる「褥瘡」「排せつ」にかかる加算手当も見直しが行われ、条件が緩まった点も覚えておきましょう。
これは、日常的に介護を行う介護職とも大きく関係してくるところです。

出典:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」

改定は自立支援を促すもの

自立支援を促すものとして、「医療従事者や介護従事者、リハビリ従事者による直接的な働きかけ」があります。
今回出された「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」は、そのような働きかけを評価するためのものでもあり、加算の条件を緩くするものも多くみられました。

もちろん無理のあるケアプランは立ててはいけませんが、「その人がその人らしく、その人の力で生きていく時間」を長くするための働きかけは、利用者様だけでなく、介護保険の負担の軽減などにもつながります。
今回の改定は、このような視点に立って行われたものだとみるべきでしょう。