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介護報酬の改定内容の1つ「地域包括ケアシステムの推進」

介護にかかわる法律や制度は、さまざまな角度からの見直しがよく行われています。
時代にあった見直しによって改定が行われ、それが現場に伝わってきます。
本記事では、厚生労働省の出した「令和3年度介護報酬改定の主な事項」をメインテーマにとり、そのなかから「2.地域包括ケアシステム」について紹介していきます。

地域包括ケアシステムとは

介護職の人にとってはなじみ深い「地域包括ケアシステム」という言葉ですが、まずはこれをおさらいしましょう。

地域包括ケアシステムの考え方は、少子高齢化社会(特に、「団塊の世代」が75歳以上になる2025年)に向けて出てきたものです。
これは、簡単にいえば、「たとえ重度の介護状態になったとしても、住み慣れた土地で、その人が自分らしい生活を続けられるようにするためのサービスが一体化して提供されるシステム」をいいます。

この地域包括ケアシステムは、「住み慣れた土地を離れなくて良い」というメリットを、介護される人(また潜在的な「介護される人」)に提供します。
ただ現在、都市部とそれ以外では人口も異なります。
そのため、地域包括ケアシステムを構築するうえにおいては、その保険者となりうる都道府県や市町村による「それぞれの特性を把握したシステムの発想と構築」が必要不可欠です。

出典:厚生労働省「地域包括ケアシステム」

令和3年度の取り組み

厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項」が、地域包括ケアシステムをどのように扱っているかを見ていきましょう。

こちらでも地域包括ケアシステムは非常に重要視されていて、「利用者の尊厳を守りながら、その利用者が必要とするサービスを間断なく受けられるようにすること」を目的としています。

これは大きく、

・認知症への対応
・看取りへの対応
・医療と介護の連携
・在宅サービスの強化
・高齢者施設などの強化
・ケアマネジメントの能力と公正性をアップさせること
・地域の特性を踏まえたサービスの提供
の7つに分けられています。

出典:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項」

それぞれの項目の特徴

上記の7つの内容を、少し細かく解説していきます。

認知症への対応…訪問系のサービスにも、認知症専門ケア加算が行われます。
また、直接的な介護を行う職務の人間に対しては、認知症介護基礎研修の受講が義務付けられます。

看取りへの対応…その人らしい最期を迎えるための取り組みを行う必要があります。また、見取りに必要な加算も考えられています。
今まで制定されていた「2時間未満のサービス提供は、所要時間を合算する」としていた部分にもメスが入りました。

医療と介護の連携…それぞれの施設に対して、医師とケアマネージャーの間で連携をとるように、としたものです。

在宅サービスの強化…在宅介護においては、利用者の負担を軽くするための見直しなどが行われています。

高齢者施設などの強化…施設利用時の上限人数が緩和されます。
また、受け入れ可能日数や人数についての見直しも行われます。

ケアマネジメントの能力と公正性をアップさせること…医療機関で医師の説明を受けるときにケアマネージャーが同席したり、居宅介護支援業者との間で連携を図ることを評価したりといった取り組みがなされます。

地域の特性を踏まえたサービスの提供…中山間地域の場合は、夜間のサービスなどに加算をするなどの対策がとられるようになります。

出典:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項」

地域でみていくことの重要性

「その人が、その人の愛した、その人にとって故郷となりうる土地で、その土地に根差したサービスを受け、その土地で命を終えること」を目的として作られた地域包括ケアシステムは、人が生きるうえで非常に重要なものです。
さまざまな改定も行われていますので、チェックしておきましょう。