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介護現場で活躍する歩行器。種類や使い方を解説

介護の現場では、さまざまな介護用品が使われます。
「歩行器」もそのうちのひとつです。

本記事では、歩行器の概要や特徴、種類や使い方について解説していきます。

歩行器とは

歩行器とは、人が歩くことをサポートするための道具をいいます。
小さな赤ちゃんに歩くことを教えるために使われるものもありますが、体に不自由があったり、けがをしたり、年齢を重ねて動きにくくなったりした人を支えるために使われるものもあります(ここでは後者のみを取り上げます)。

また歩行器という言葉は、狭義の意味で使うか広義の意味で使うかで示す範囲が変わってくるのでもあります。
「広義の意味の歩行器」は、下記で述べる「狭義の意味の歩行器」が含まれており、加えて「歩行車(腕やひじなどを置くことができるもの)」と呼ばれるタイプや、「シルバーカー(自立で歩ける人が、物の運搬を行うときに使うもの)」も内包する言葉です。

対して「狭義の意味の歩行器」は、自立して歩くことが難しい人が使うことを前提としているという特徴があります。
上で挙げた「広義の意味の歩行器」に含まれているシルバーカーは介護保険では使えませんが、この「狭義の意味の歩行器」に分類されるものは介護保険を使ってのレンタルが可能です。

これ以降は、「狭義の意味の歩行器」に焦点を当てて、その特徴や使い方について解説していきます。

歩行器の種類と使い方・特徴

歩行器には、以下3つに分類することができます。

  • 固定型歩行器
  • 交互型歩行器
  • 車輪(キャスター)つき歩行器

安定性抜群の固定型歩行器

固定型歩行器は、体の前側と横側にフレームが来るもので、両手を使ってフレームを握って、ゆっくり歩き始めるという使い方をするものです。
固定型歩行器は3つの歩行器のなかで最も高い安定性を誇るうえに、広く使われているものであるため、歩行器の基本ともいえる存在です。

比較的軽いため、階段の上り下りにも対応しやすいのが特徴です。
「杖では歩くことは難しいものの、上半身の筋力はしっかりある」という人に非常に向いている形式です。
ただし歩く速度は非常にゆっくりになります。
また上半身の力が求められているため、両手首の力がしっかり残っており、またこれに痛みがない人しか使えません。

固定型歩行器より速く歩ける交互型歩行器

交互型歩行器の見た目は、固定型歩行器とそれほど変わりません。
ただこの交互型歩行器の場合は、持っている手を左右に動かして動けるという特徴があります。

バランス機能がなければ使いこなすことが難しいものではありますが、慣れれば固定型歩行器よりも速く歩くことができます。
「腕の筋肉がしっかりあり、かつそれを交互に動かすこともできる」という人の場合は、この交互型歩行器を使うとよいでしょう。
また交互型歩行器はしばしば、固定型歩行器に慣れた人がステップアップとして使うものという扱いをされることもあります。

多機能な車輪・キャスターつき歩行器

車輪・キャスターつき歩行器は、文字通り、フレームの下に車輪・キャスターがついたものをいいます。

このタイプは非常に多機能であり、また多様化しています。
両手で自分を支えて歩くタイプもあれば、両腕を使って使うタイプもあります。
また、ちょっとした小物が入れられるかばんがつけられているものもあります。

段差に弱いため屋外では使いにくいとされていますが、傾斜を感知するセンサーがついているものを選べば屋外でも使えるでしょう。
また、折り畳みができるタイプを選べば、公共交通機関などでも利用できます。
手首の力が弱く、固定型歩行器・交互型歩行器を持ち上げることができない人でも、この車輪・キャスターつき歩行器ならば扱えるというメリットもあります。

ただ、車輪・キャスターつきの歩行器はあまりにも多様化しているうえ、たとえば「センサーがついているものは重くなりやすい」などのデメリットもあります。
車輪・キャスターつきの歩行器の利用や貸与を行う場合は、「介護される人の現在の身体の状態」「介護される人が何を目的として歩行器を借りようとしているか」をしっかり見極めることが重要です。

「歩く」という基本の行動を支援するために

「歩く」という基本的な行動を支援するための道具として、歩行器があります。
この言葉は解釈によって含まれる範囲が異なるものですし、また種類も多種多様です。
介護に携わる人間は、その種類と特徴を把握することはもちろん、「利用者様の現在の身体の状態はどうか」「利用者様(やそのご家族)が求めている機能はどんなものか」を意識したうえで、歩行器を選択できるようになりましょう。