介護保険の自己負担額が2割増し!?2024年からの改正内容
世の中にはたくさんの法律があります。
そしてその法律は、より時代に即したかたちで運用できるようにするために、しばしば見直しが行われます。
本記事では、2024年に向けた「介護保険法の見直し」について解説していきます。
介護保険法の改正事情について
日本は高齢者の割合が非常に多く、3〜4人のうちの1人が高齢者です。
年を重ねることで介護を受ける可能性が高くなるため、日本では「介護保険法」として、介護に関する法律を制定・実施し、高齢者を支えています。
この介護保険法は、非常によく改正されます。
よりニーズにあった、より適正な法律にするために、3年に1回のスパンで見直し~改訂が行われているのです。
2021年に見直し・定められた介護保険法は、2024年には再度改正されることになるというわけです。
介護職として働く場合、介護スタッフとしての「技術」はもちろんのこと、介護保険法についてもある程度勉強をしておかなければなりません。
以降では、2024年に改正を迎える「介護保険法」について解説していきます。
2024年の改正で何が変わるか
2024年に行われる介護保険法の改正で、もっとも大きな変更点は「介護保険サービスを受けるときの利用者の負担が重くなる」と予想されることです。
現在の介護保険法においては、介護保険利用者の自己負担割合は1割・2割・3割のいずれかでした。
この自己負担割合は収入によって決められていて、収入が少なければ1割負担に、収入が高ければ3割負担とされていました。
しかし2024年の介護保険法の改正においては、原則として「自己負担割合1割」を除き、「自己負担割合2割あるいは3割」のみとするとしたのです。
この変更の影響は非常に大きいといえます。
「現在は1割しか負担していないのに、2024年からは2割になる」という人が出てくると予想されるからです。
しかも現在の日本においては、自己負担額が2~3割の層はわずか10パーセント程度しかいません。
そのため、残りの90パーセントのうちの少なくない数の人が、自己負担額2割に分類されるようになると考えられるのです。
介護サービスは、介護度や利用するサービスの時間などによって料金が変わってきます。
たとえば要介護5の人が7時間程度の介護サービスを週に4回利用していた場合、今までは1割負担の17,920円で済んでいたのに、これからは2割負担の35,840円もかかる……ということが起こりえます。
1年間の差額は実に21万5,040円にもなりますから、この改正は多くのご家庭の財布を直撃するものだといえるでしょう。
このような改正が行われた理由として、「高齢化社会に向かう時流を止められないこと」が挙げられます。
高齢者が増えれば、当然介護保険を利用する人も増えます。
国も無限の財源があるわけではありませんし、現役世代との兼ね合いもあります。
このため、「できるだけ自分たちの収入で介護サービスを利用してもらおう」とする考え方が出てきたのでしょう。
2024年改正介護保険法、それ以外の改正点
2024年の介護保険についての改正点を知ろうとするとき、どうしても「自己負担額が増えること」のみに終始してしまいがちです。
しかし2024年の介護保険法改正は、この自己負担額の増加だけを目的としているわけではありません。
介護保険ではこれ以外にも、
・要介護1~2までの、要介護度が低い人については、訪問介護や通所介護は介護保険から除外して、各自治体の地域支援事業に移行させる
・介護施設まで歩ける人に関しては、訪問看護サービスなどに制限を設ける
・介護給付費が適正化されているかどうかを見直す
・介護施設において、その経営状態がどのようになっているのか、ほかの機関との連携はとれているのか、効率よく運営されているのかなどを確認する
などのような項目が盛り込まれています。
介護保険の利用者様はもちろん、介護サービスを提供する側に対しても見直しなどを求める法改正である点は、介護職員として把握しておかなければならないでしょう。
2024年の介護保険法の改正によって、介護職員の働き方や働く場所などが変わる可能性もあるからです。
もちろん、このような法改正については賛否の「否」の意見が出されることもあります。
ただ高齢化社会が進み続ける現在において、介護保険法の改正は避けられないものであるともいえます。
なおここで解説してきた話については、いまだ議論は続いていますから、実際に施行される法律とはまた異なるかもしれません。
詳しい情報や確定情報を求めるためには、その時々の最新の情報にアクセスすることが非常に重要です。
介護保険法改正の背景と2024年の変更点
介護保険法は、その性質の都合上、3年に1度の改正が行われています。
2024年では介護サービスを利用するときの自己負担額が増えるとして話題になっています。
また、それ以外にも介護職員に関わる変更も行われるものと予想されます。
※本稿は2022年9月末日に書かれたものです。