着脱介助の手順とコツを解説!意識したいポイントとは?
体が不自由であるなどの事情で、自分1人では着替えができない人もいます。
そのような人のために行うのが、「着脱介助」です。
今回はこの着脱介助について、着脱介助の概略、着脱介助の手順、着脱介助を行うときのコツ、について解説していきます。
着脱介助の手順
着脱介助は、起きているとき(座位の姿勢)と寝ているときでやり方が異なります。
まずは、「起きている状態での介助(座位の姿勢)」について解説します。
座位の姿勢のときの手順
1.上着をたくしあげ、痛みや拘縮がみられない方の腕を袖から抜く
2.頭から上着を抜くようにして脱がせ、痛みや拘縮がある方の腕を袖から抜く。上着が脱げたことになる
3.痛みや拘縮がみられる方の腕を、袖に通す
4.痛みや拘縮がみられない方の腕を、袖に通す
5.ボトムスの着替えを行う。まずは、ウエスト部分までズボンを下げる
6.立ち上がり、ズボンを臀部の下まで引き下ろし、要介護者を一旦座らせる
7.左右のズボンをおろして抜く。これで、下側の衣服も脱げたことになる
8.新しいズボンを片足ずつ入れ、臀部の下まで持っていく
9.再度要介護者を立たせ、ズボンを穿かせる
寝ている状態での手順
1.ボタンをあけて広げ、肩部分を露出させる
2.要介護者を横向きにさせ、上側になった部分の上着を脱がし、袖を抜く
3.半身を脱がせた状態で、その脱がせた部分に新しい服を通す
4.要介護者を仰向けにさせ、古い衣服の袖を抜く
5.2とは逆の方向の腕を上側にし、新しい衣服を通し、整える
6.横向きの状態にさせ、臀部の下までズボンを下げる
7.要介護者を仰向けにし、ズボンを交互にずらしながら脱がせる
8.新しい衣服を足先から通す
9.太もも部分まで引き上げたのち、横向きにさせ、ズボンを引き上げる
10.もう片方も同じようにする
着脱介助を上手に行うコツ
着脱介助を上手に行うコツについてもみていきましょう。
全体
着脱介助を行う場合は、まずは「着脱しやすい服」を選ぶことが重要です。
ゆとりのある服やゴム、マジックテープを使ったものを選びましょう。
次に、着脱介助を行う際は関節部分をしっかりと支えるようにします。
また、着脱介助に限ったことではありませんが、声かけを行うことや「自分でできる範囲のことは自分でやってもらい、できない部分をサポートすること」が求められます。
こうすることで介護の度合いが進行する度合いを遅くすることに繋がり、介護を行う側の負担(特に介護をする人が家族である場合)を減らすことにもなります。
片麻痺の患者
前項でも触れましたが、痛みや拘縮がみられる場合は、「脱健着患(だっけんちゃっかん)」のやり方をとります。
これは、衣類を脱ぐ際は麻痺などがない健常な半身の健側から、着用の際は病気や関節痛、麻痺などのある患側から行うことを指します。
このようなやり方をすれば、痛みがあったり動きが制限されたりする人でも着替えをしやすくなります。
この方法は、利用者様の体に優しいだけでなく、介護をする側(介護士側)にとっても負担の少ないものです。
着脱介助は声掛けを意識する
「衣服の着脱」は、生活の基本のひとつです。
衣服を適宜着替えることによって心身をリフレッシュすることができますし、皮膚のトラブルを遠ざけることもできます。
1日に何度か行うことになるこの着脱介助は、必ず声掛けをしてから行うようにします。
また正しい手順を押さえるとともに、「できることは自分でしてもらう・自分でする」という考え方を、介護される人も介護する人も持つことが重要です。