新型コロナ感染症に対する介護施設の取り組みと対策:感染拡大防止編
新型コロナ感染症(COVID-19)の世界的な流行を受けて、介護施設や病院などでも感染症の取り組みを行うことが重要視されるようになりました。
介護施設でのクラスター発生の報道と相まって、職員や施設側には感染防止のために手を打つことが求められています。
今回はこの「感染症に対する介護施設の取り組みと対策」を、厚生労働省の発行する「介護老人保健施設等における感染拡大防止のための留意点について」を元に解説していきます。
目次
職員間および保健所との情報の共有
感染防止対策のなかでもっとも重要なポイントのうちのひとつは、「情報の共有をきちんと行う」というものです。
「病気にかかること」も非常に恐ろしいものではありますが、感染症において何よりも怖いのは、「病気にかかったことに気づかずあるいは言わずに、他の人に移してしまうこと」です。
特に新型コロナ感染症(COVID-19)の場合は、セキやクシャミなどによっても感染することがわかっているため、1人が感染した場合、同じ空間にいる人たちにうつしてしまう可能性がとても高いといえます。
そのため、新型コロナ感染症者が発生した場合はすぐに管理者へ報告を行いましょう。
またそれと同時に、施設内でも情報を共有し、入所している利用者様のご家族にも報告を行うようにしてください。
介護施設は、ご高齢の人を対象としているものが多いといえます。
厚生労働省のデータによれば、新型コロナ感染症(COVID-19)に罹患した場合の死亡率は、60代で1.9パーセント、70代で5.7パーセント、80代で11.5パーセントとなっています。
職員が新型コロナ感染症(COVID-19)に感染した場合、そこから利用者様にうつり、重篤な状態に陥る可能性もあります。
そのため職員は出勤前に検温を行い、施設に入る前にも再度検温を実施し、問題がないことを確認してから仕事に入る必要があります。
面会の制限・管理
緊急事態宣言の前からすでに面会の禁止を徹底している施設も多くみられます。
また、これらの施設のなかにはWEB面談などでご家族―利用者様の間で連絡をとることができるようにしている施設もあり、ご家族―利用者様の交流が断絶しないように心を砕いています。
緊急事態宣言が解除された後も、「面会は親族だけに限る」としている施設が多く、面会の制限・管理による感染防止策はほぼ徹底しているといえます。
介護施設側では、今後もこの方針を貫くことが望ましいと考えられます。
面会は緊急時を除き制限をし、WEB面談などでのフォローを心掛けましょう。
また、業者とのやり取りも限られた範囲(玄関先など)で行うことが推奨されています。
施設内に入る人間の数を減らすことが、感染症予防には効果的です。
職員が感染しないように
職員が感染した場合、ほかの職員や利用者様にうつる可能性があります。
特にご高齢の利用者様の場合は、命に関わる状態になることも決して珍しくはありません。
出勤前及び仕事前の検温を徹底するとともに、以下の3要点を意識して過ごすようにしてください。
手洗いうがいの徹底
手洗いは15秒以上かけて行います。
うがいも頻繁に行う必要がありますが、特に外から帰ってきた場合には必ず行うようにしてください。
マスク及びセキエチケットの徹底
感染症を防ぐためのアイテムとして、「マスク」は非常に有効です。
顔に密着するかたちでマスクを着用することで、感染リスクを下げることができます。
ただしマスクは熱中症を呼び込む原因ともなるので、人が近くにいないときには外し、熱中症対策にも努めましょう。
セキやクシャミをする場合は、マスク内もしくはハンカチなどで覆って行います。
上着の内側の肘部分に口を当ててから、セキやクシャミをするのも効果的です。
不必要な密集を避ける
職員同士での情報交換は必要ですが、必要のないときには密集を避けるように心がけてください。
食事をとるときも距離をあけるようにし、唾や汗などが飛ばないように心がけます。
食堂などがある場合は、3つ並んだイスのうち真ん中の1つを使用禁止にするなどして、距離をあけられるように調整しましょう。
職員を感染から守ることで、職員自身の命と健康を守ることができます。
また、職員の感染を防ぐことで、利用者様への感染リスクを下げることもできます。
感染症対策をすることが、利用者様と職員の健康を守ることにつながる
感染防止のために、
・検温
・情報の共有
・面会の制限
・手洗いうがい
・マスクの着用及びセキクシャミエチケットを守る
・不必要な密集を避ける
などを徹底してください。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は高齢者の方ほど死亡率が多い病気です。
多くの高齢者の方と接する介護施設職員は「自分が感染した場合、自分の命や健康はもちろん、利用者様の命や健康を害することになる」としっかり意識をし、感染予防に努める姿勢が求められます。