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免許取り消しの可能性もある?看護師の行政処分と欠格事由

看護師が罪を犯した場合、厚生労働省から行政処分を受ける可能性があります。
医療過誤など業務内のことだけでなく、窃盗や違法薬物の所持など、業務外の犯罪についても処分対象になります。

本記事では、看護師の行政処分と欠格事由について解説していきます。

看護師の行政処分とは

行政処分とは、看護師が罰金以上の刑に処せられた際に、厚生労働大臣によって行われる処分のことです。
看護師の行政処分には「免許取り消し」「業務停止」「戒告」の3種類あります。
実際の処分は、厚生労働省が設置する保健師助産師看護師分科会看護倫理部会にて審議・実施されます。
ちなみに行政指導とは、この3種類の行政処分するほどではないものの、注意が必要とされる行動などに対して行われる、行政からの厳重注意のことです。

免許取消

免許取り消しは、看護師の行政処分の中でも最も重い処分です。
厚生労働省の「保健師助産師看護師法」では、罰金以上の刑に処された者や、看護師の業務上において犯罪や不正行為があった者について、免許を与えないことがあるとしています。
つまり、罰金が科せられるような罪を犯して前科がついた場合、看護師免許を取り消される可能性があるということになります。

業務停止

業務停止とは、免許取消の次に重い行政処分です。
罪の程度やその悪質性によって左右され、短ければ3ヶ月程度、最長で3年間は看護師として仕事ができません。
そのため、かなり重い処分であるといえるでしょう。

戒告

戒告とは、上記二つの処分のように具体的な制限を受けるわけではありません。
あくまでも「将来を戒める」という戒告という言葉の意味に沿い、過失や非行などに対して厳重注意を行うものです。
免許取消や業務停止ほどではないが、処分の必要があると判断された場合に下されます。
ただし、行政指導とは異なり行政処分ではあるため、処分歴が記録される点には注意しましょう。
注意歴がある場合、再度何らかの刑事処罰を受けた場合、より重たい処分が課せられます。

行政処分を受けた後に復帰は可能?

行政処分

行政処分を受けたものの、看護師に復帰をしたい場合は、厚生労働省が定める再教育を受講すれば復帰が可能です。

再教育内容と行政処分の関係

受けるべき再教育の内容は、行政処分の内容によって以下のように変わります。

  • 戒告処分を受けたケース:集合研修の受講が必要
  • 業務停止1年未満の処分を受けたケース:集合研修+個別研修(個別研修に替えて集合研修+課題研修も可)が必要
  • 業務停止1年以上の処分を受ける、免許取消処分を受けた後に規定の手続きを経たケース:集合研修+個別研修が必要

また、再教育の手数料や登録申請手数料は、以下のように処分によって異なります。

  • 戒告処分を受けた看護師の手数料:7,850円
  • 業務停止処分や免許取消処分後、規定の手続きを経た上で看護師の再免許を受ける者の手数料:15,700円
  • 再教育を修了した旨の登録申請手数料:3,100円

集合研修

集合研修では、職業倫理や看護技術のうち医療安全に関連する内容を学びます。
研修期間は処分の内容によって以下のように異なります。

  • 戒告処分を受けた場合:1日
  • 業務停止・免許取消処分を受けた場合:2日

課題研修

課題研修では、現場復帰後に国民に対して安心・安全かつ質の高い医療や看護を提供できるよう、再教育が行われます。
課題研修修了時には課題研修修了報告書を、行政停止処分終了の30日前までに厚生労働大臣に提出しなければなりません。
業務停止処分が3ヶ月以下であれば、14日前までになります。

個別研修

看護に関する演習やカンファレンスへの参加、ボランティア活動などを行います。
ただし、個別研修を受けるのは免許停止中または取消処分を受けた看護師であるため、実務研修は行えません。
また個別研修を受ける場合は、助言や指導などを行うものを専任し、厚生労働大臣の指名を受けて、助言指導者の選任を受けなければなりません。
助言指導者は親族関係になく、保健師などの免許取得後5年以上経過している者であるなど、いくつかの条件があります。
研修期間は受けた処分によって異なり、業務停止2年以上または取消の場合は、120時間以上となります。
厚生労働大臣への個別研修計画書の作成および個別研修修了報告書の提出も必要です。

看護師の欠格事由とは

欠格事由とは、ある資格を与えるのにふさわしくない行動のことです。
看護師の場合は、看護業務を行う医療従事者としてふさわしくない行動のことを指します。
たとえば、犯罪行為をしてしまった、身体的・精神的な事情があって業務遂行が困難であるといったものを欠格事由といいます。

具体的にどのような欠格事由があるかについては、以下で詳しく解説します。

看護師の欠格事由に該当すること

欠格事由

看護師の欠格事由に該当するのは以下の4つです。

罰金以上の刑に処せられた
罰金刑以上ということで、禁固刑・懲役刑なども含まれます。
交通違反・事故などにおける反則金や賠償金は含まれません。
ただし、刑法に問われる人身事故を起こした場合は、欠格事由に該当することもあります。

看護師の業務において犯罪・不正があった
医療過誤や医療行為中のわいせつ行為などがこれにあたります。

心身の障害により看護師の業務を適正に遂行できない
身体的・精神的な障害が発生し、業務を適正に行うのが困難な場合がこれにあたります。
たとえば、病気や事故により聴覚が失われてしまった場合などです。
障害の有無の確認は医師の診断書によって行われます。

麻薬などの違法な薬物の中毒者である
違法薬物の所持・使用は、明らかな欠格事由となります。

看護師としての責任を考えた行動を心がけましょう

看護師も人間なので、過ちを起こしてしまう可能性はあります。
しかし、医療従事者は人の命を預かる職業のため、何らかの罪を犯した人が働いていては、安心して医療を受けられません。
そのため国では、一定の基準を設けて行政処分を行っています。
たとえ戒告処分であったとしても行政処分が下されれば、その後の看護師人生では大きな重荷となります。
大切な命を預かる看護師であることを自覚し、業務外であっても責任を持った行動を意識しましょう。