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退院支援は病棟の看護師だからこそできる仕事!調整能力を磨いていこう

退院支援を担う看護師の仕事というと、「多職種との関わりがある」となんとなくイメージする方も多いかもしれません。
しかし、具体的な仕事内容はわからない方も少なくないのではないでしょうか。

本記事では、退院支援とはどのようなものか、仕事内容やスケジュール、退院支援を担う看護師に必要な資質について解説します。

退院支援とは

退院支援とは、患者さんが退院に向けて前向きにステップを踏みだし、安心して退院後の療養生活を送れるように支援することです。

退院支援の背景

近年、日本は超高齢化社会を迎えていることから、重症患者を対象とする急性期病院においては、在院日数が短縮されている傾向にあります。
そのため、急性期病院からの転院、そしてリハビリテーションや在宅医療などといった退院先を早い段階で検討しなければなりません。
こうした背景があることから、医師・看護師・理学療法士ら多職種が連携して、患者さんとそのご家族が望む形をできる限り実現できるよう、最善を尽くす退院支援が必要とされてきているのです。

退院支援を担う看護師の役割

退院支援を担う看護師の役割を業務内容ごとにご紹介します。

スクリーニング

スクリーニングは、患者さんが早期に退院支援が必要となるかどうかを評価するものです。
早期に評価しつつ、患者さんやそのご家族の様子を把握すれば、退院後の生活をイメージしつつ、適切に看護計画を立てることができ、医療的介入もしやすくなります。
注意点としては、病状の悪化などにより、患者さんの状況が変化する可能性があることを考慮しなければいけないことです。
初期段階で退院支援の必要がないと評価できる場合でも、状況に応じて再びスクリーニングを行いましょう。

アセスメント

スクリーニング後はアセスメントを行い、患者さんの状態を分析・評価し、退院後の生活をイメージしつつ、計画的に看護を行います。
医療管理と生活ニーズの2つに情報を整理することで、より適切な退院支援を行えるようになります。
患者さんによっては、医療管理に関する指導内容が実践できていないことも少なくありません。
アセスメントを行って、具体的に実践できていない部分を明確にした上で、患者さんにわかりやすく再指導をしましょう。

アセスメントを通じて医療管理や生活ニーズに関する問題点が浮き彫りになったら、退院後を見据えた上で、より具体的な支援について検討します。
たとえば、退院後に看護が必要そうであれば訪問看護師と連携、リハビリが必要であれば理学療法士と情報共有した上での調整などが必要になります。

退院前カンファレンス

退院後に患者さんとご家族が安心して生活できるように、退院前に支援内容について検討します。
患者さんごとに状況はさまざまですので、必要に応じて医師・看護師・理学療法士・薬剤師・訪問看護師など多職種と連携してカンファレンスを行います。
カンファレンスには看護師などの医療関係者だけでなく、患者さんやご家族にも参加していただき、より患者さんに適した支援を行えるように調整します。
また、主治医や病院看護師は、患者さんとそのご家族が安心して生活できるように、在宅医療スタッフへ情報提供をして引き継ぎを行わなければなりません。

退院支援を担う看護師の1日・スケジュール

看護師

退院支援を担う看護師は、患者さんやそのご家族に合わせて時間を調整するため、スケジュールが日によってまちまちです。
以下で、退院支援を担う看護師のある日のスケジュールを、擬似的に再現してまとめてみました。

8:15 出勤後
出勤後、カンファレンス、相談予約の確認や、部署内での情報共有とスケジュール確認を行います。
患者さんのご家族の都合で夕方以降に相談予約が入っている場合は、部署内で残業できる人員を調整します。

8:45 患者さんの状態を医師に確認
退院カンファレンスの日程調整を進めます。
また、独居の方の病状を知るため、医師に確認を行います。
医師が空いている時間を把握してスムーズに行うことが大切です。

9:30 患者さんの状態を担当看護師に確認
退院間近の患者さんの様子・状態を担当看護師に確認します。
内服状況や食事の摂取状況、夜間の状態はもちろん、排泄や整容活動なども情報収集してアセスメントします。

10:00 ソーシャルワーカーと会議
気管切開や胃瘻造設した患者さんの退院支援について、ソーシャルワーカーと会議することもあります。
それぞれの職種の特性を活かし、アドバイスし合いながら進めます。

11:00 訪問看護ステーションへの依頼
退院が決まった患者さんの在宅支援体制を整えるため、患者さんの家から近い、24時間体制などの訪問看護ステーションに依頼します。

12:00 患者さんの食事状況の確認
ラウンドして患者さんの食事状況を自分の目で確認します。
様子をみて誤嚥リスクがないか、栄養指導の必要性の有無などをチェックします。
動画を撮影し、ソーシャルワーカーに情報共有することもあります。

12:45:昼休み
病院の食堂や売店などで昼休みをとります。

13:30 ケースカンファレンスへの参加
ケアマネージャーや介護福祉士など多職種とともに、患者さんの経過や退院、退院後について話し合います。
患者さん本人の希望はもちろん、ご家族の意向も加味して、施設または在宅どちらにするか調整していきます。

14:45 介護保険認定員の調査立会い
介護保険認定員の立会いを行うこともあります。
入院中の様子について、事前に担当看護師に確認しておき、認定員にその情報の共有も行います。

16:00 高齢者支援センターとのやり取り
患者さんの状態によっては、要介護認定ではなく要支援になることもしばしばです。
本人からデイサービスに通いたいなどの要望があれば、高齢者支援センターに退院後について相談することもあります。

16:30 地域ケアカンファレンスへの参加
地域の定例カンファレンスでは多職種が集まり、退院を控えた患者さんたちの情報共有や退院に向けてのスケジュール調整、必要な支援について話し合いを行います。

17:15 記録と引き継ぎ
業務内容だけでなく、共有が必要な情報をまとめて記録します。
日中に細かく記載した内容をまとめる時間でもあります。

17:45 退院カンファレンス
医師やケアマネージャー、場合によっては福祉用品の営業の方、そして患者さんのご家族などが集まりカンファレンスを行います。
ご家族の都合を優先するため、時間はまちまちです。

18:30:帰宅
残った業務をまとめて帰宅します。

退院支援を担う看護師になるために必要なこと

退院支援では、患者さんが退院後も安心して生活できるように、病院内・院外の多くの職種の方と連携しなければなりません。
つまり、退院支援を担う看護師は、円滑に情報共有を行うための潤滑剤、地域の橋渡し的な存在として活躍することが求められます。
そのため、以下のような人に退院支援看護師が向いています。

向いている人の特徴

退院支援を担う看護師には、「コミュニケーション能力」「社会福祉に関する知識」「マネジメント力」「患者さんと真摯に向き合う気持ち」が求められます。
退院支援を担う看護師は、院内外を問わずさまざまな職種の方と連携しなければいけません。
そのためには、正しく情報を伝えられるコミュニケーション能力や、他職とスムーズに連携して調整を行えるマネジメント力が求められます。

また、患者さんが退院後に適切な支援を受けられるように、地域の福祉施設や福祉サービス、福祉に関する法令などに関する知識も必要です。
そして何より大切なのが、患者さんと向き合う姿勢です。
患者さんは退院後にどのように過ごしたいのか、じっくり向き合って把握しましょう。

しかし、ご家庭によって状況はさまざまです。
そのため、患者さん本人やそのご家族の希望をよく聞き、しっかりと向き合い、最善の道を一緒に探していく姿勢が大切です。

退院後も患者さんが安心して生活できるような支援をする

超高齢化社会を迎えた日本において、退院支援は重要な役割を持つ業務です。
そのため、退院支援を担う看護師も多くの病院で必要とされてきています。
退院支援看護師は、患者さんが安心して退院後に生活できるように、院内外で多職種と連携して情報共有やサポート内容の調整などを行います。
関わる人の数ややるべきことは思っている以上に多いため、コミュニケーション力やマネジメント力が必要とされます。

毎日のスケジュールも一定ではないため大変さはあるものの、患者さんのより良い将来のために業務を進めることはやりがいにもつながります。
多職種との連携で新たな知識や経験を得られる機会も多くあるため、飽きることはありません。
現在、病棟に勤務しておらず退院支援に興味がありましたら、ぜひ退職支援看護師も検討してみてください。