リアルジョブ | 介護職・看護職・保育職の求人・転職サイト

要介護認定調査の聞き取り内容。介護職の関わり方

要介護認定制度は、介護を受ける人・介護をする人にとって重要な制度です。
ケアプランはこれを考慮して作成されます。
また、金銭面にも大きな影響を与えます。

本記事では、介護の土台となる「要介護認定調査」について、どのようなものか解説していきます。

「要介護認定」が持つ意味とは

介護が必要な人(あるいは介護が必要な状態にあるかもしれないと思われる人)の状態を把握し、段階別に評価して、要支援・要介護の度合いを判断するこの要介護認定は、ケアプランの作成や支払いに関わってくるものです。

要介護認定は、介護が必要な人の人生も、そしてその周りの人の人生も大きく変えるものです。
要支援度・要介護度が1つ違うだけで受けられる介護サービスも違えば、介護サービスを利用できる時間も変わってきます。

そのため、要介護認定の調査にあたる人は、常に慎重で公平な視点で聞き取りをしなければなりませんし、より正確な判断を出すための「聞き取りの手法」「質問の技術」を学んでおかなければなりません。
※聞き取り内容などに不備があった場合は、市町村から調査にあたった人に対して「再度の調査を行いなさい」と命じられる可能性もあります。

要介護認定調査員になるための条件

専門的な仕事であるため、要介護認定調査員には専門的な資格や知識が求められます。

要介護認定調査員として働ける条件は、以下3つとなります。

  • 市町村役員
  • 事業を受託されている法人の職員
  • ケアマネージャーもしくは介護事業者

なお、市町村職員と、事業を受託されている法人の職員は、要介護認定の新規認定・更新・区分変更のすべてを担当できますが、ケアマネージャーや介護事業者の場合は、新規認定は行えません。

また、事業を受託されている法人の職員であれば誰でも調査員になれるというわけではなく、以下の条件のいずれかを満たしている必要があります。

  • ケアマネージャーの経験5年以上
  • 特定の資格(医療系・福祉系の国家資格。医師や介護福祉士など)を持っているか、認定調査経験が1年以上ある
  • 都道府県および市町村が行っている研修を受けており、これを修了している

要介護認定調査員の「聞き取り」と「求められる能力」

要介護認定調査員にとって、最も重要なのは「コミュニケーション能力」だとされています。
なぜなら、介護認定の第一次判定は「聞き取り」によって行われるからです。

聞き取りの基本的な内容は、以下となります。

  • 身体機能
  • 生活機能
  • 任意機能
  • 精神および行動障害の有無
  • 社会生活をどれくらい送れているか
  • 過去14日間に特別な医療を受けたか否か、受けた場合はその内容
  • そのほか(家族の状況など)

「もともと介護職に就いていた。身体機能に衰えは見られるものの、専門的な知識を有しており、認知能力にも問題がない」「同居家族が医療職であり、状況を把握できている」という状況もありますが、基本的には、調査員が足を運ぶ家の人は介護の専門的な知識は有していません。
そのため、質問はされていないけれど伝えなければならないことを口に出すことは困難ですし、質問をしたとしても明確な答えが返ってこない可能性も高いといえます。
そのような状況でも正確な判断を行えるようにするために、調査員はコミュニケーション能力と質問の技術を身につけておかなければならないのです。

実際の進め方

ここでは、実際の進め方についてご紹介します。
介護認定調査に入る前にはまず、以下を確認していきます。

  • 認知症があるのかそれともないのか(本人に確認するのが難しければ家族に確認)
  • 同席者はいるのかそれともいないのか
  • 自宅に表札は出ているのか出ていないのか

また、実際に足を運んだ場合は、その人の歩行状態を確認します。
そして、本人に名前や日時、趣味などを聞く過程のなかで、その人の認知機能の状態を確認するようにします。
これらは訪問~挨拶というごく日常的な行動ですが、そのなかにも相手の状態を確認するための要素が入っているのです。

「排泄」や「移動」についても、現状を確認します。
ただ「排泄」に関しては、本人が独力で行うことが難しい状況であるようだと判断された場合は、ご家族に聞きます。
なぜなら、本人の口から介護を受けていることを告白させることは、相手の尊厳を傷つけてしまう可能性があるからです。

加えて、現在すでに介護サービスを利用しているのであれば、それも確認しておきます。
ただし、これを正確に答えられる人はそれほど多くはありません。
そのため、利用している事業者はどこかを確認しておくとよいでしょう。

要介護認定調査員に求められるもの

多くの人の人生自体を変える要介護認定は、その責任の重さゆえ、特定の条件を満たした人でなければなれません。
また調査員に選ばれた場合は、「コミュニケーション能力」「質問の技術」を学ぶ必要があるでしょう。