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介護現場は本当に脱アナログしている!?課題点について解説

現在はすべての介護施設で、何らかのかたちでデジタル化が行われています。
ただそれでも、依然として「脱アナログできていないこと」に悩まされている人も多いのではないでしょうか。

ここでは、

・介護現場のアナログ事情
・なぜ脱アナログが進まないのか
・デジタル化することのメリット
について解説していきます。

介護現場のアナログ事情について

国や地方自治体が音頭をとって介護現場のデジタル化を推し進めようとしていることは、周知の事実です。
たとえば東京都では「令和4年度デジタル機器導入促進支援事業」として、介護事業所がデジタル機器を導入しようとした場合、最大で260万円の補助を行うと発表しています。

しかし現在でも、「完全なペーパーレス化」は行われていません。
今でも多くの書類が紙媒体でやり取りされていますし、それらの書類作成にあてられる業務時間は少なくないのが現状です。

なぜ、介護業界では脱アナログが進まないのでしょうか。

なぜ脱アナログが進まないのか

介護現場で脱アナログが進まないことには、いくつかの理由があります。

まずは「人材不足」の問題があります。
介護業界が慢性的な人手不足に悩まされていることは、すでによく知られている通りです。
しかもデジタル化をするとなれば、それに詳しい人材が必要となります。
また、デジタル化をした場合は、介護職員にその使い方を教えていく人も必要になるでしょう。
このような人材を確保することが非常に難しいため、介護業界のデジタル化が進んでいないという現状があります。

金銭的な負担の問題もあります。
上記では「介護現場にデジタル機器を導入する場合、地方自治体などによる支援がある」としましたが、これはあくまで「補助」にすぎません。
持ち出すことになる金額は異なるものの、介護施設側でも費用を負担しなければならなくなるケースが非常に多いため、導入コストがかかることを嫌い、脱アナログができていないという現状があります。

「人材不足」「金銭的な負担」ともつながる部分ですが、「デジタル機器を導入したとしても、それを使いこなせるようにするために、情報入力を行う時間が取れない」という問題もあります。
介護は「介護をし始めて1か月以内に終わる」など、期限が定まっているものではありません。
介護を受ける人それぞれに背景があり、共有すべきことがあり、そしてそれらを記した書類があります。
データに基づいた適切な介護を行おうとするのであれば、それらの書類を一度デジタル化しなければならないのです。

しかし上でも述べた通り、介護業界は慢性的な人手不足です。
また、この「デジタル化するための作業」にも、人件費がかかります。
さらにデジタル化するためには膨大な時間がかかる上、打ち込んでいる端からさらに新しい書類が積み重なっていきます。
このような、「(人材不足や金銭的な問題とも関わる)時間的なコスト」が障害となって、デジタル化が進みにくいという現状があります。

またあまり大きく取り沙汰されることはありませんが、「介護」という業界の性質上、ご高齢の方と関わることが多いといえます。
現在の70代の中には現役時代からデジタル機器に親しんでいた人も多くみられますが、年代によってはデジタル機器への忌避感を抱いている人もいます。
このような心理的ハードルもまた、脱アナログを阻害している一因であるとする見方もあります。

デジタル化のメリット

上記で述べた「介護現場で脱アナログが進まない理由」は、言い方を変えれば、「介護現場でデジタル化を進めることのデメリット」となります。
デジタル化をしようとすればそれに詳しい人が必要になりますし、導入費用もかかります。
また、膨大な量の情報を記録させるという時間的な負担も生じます。

しかしそれでも、デジタル化を進めていくことにはメリットがあります。
デジタル化がきちんと行えれば、事務作業は格段に楽になります。
また見落としが少なくなりますし、情報を共有しやすくなります。
これによってより適切で、より効率がよく、より個々人に合った介護を行うことができるようになるのです。

機械の力を借りることで「機械に任せられるところは機械に、人間でなければできないところだけを人間が」というやり方が可能になります。
利用者様お一人おひとりに向き合いやすくなりますし、人手不足も補うことができるでしょう。

さらに、事務作業の負担が軽減することで、介護職員のモチベーションや働き甲斐を向上させることもできます。
これは離職率の低下につながりますし、結果的に熟練の介護スタッフを生み出すことにもつながります。

介護業界のデジタル化はメリットが多い

介護の現場は、まだ脱アナログしきれていないのが現状です。
しかしデジタル化することによって、さまざまなメリットが得られます。
国や地方自治体も積極的にデジタル化を推進していますから、施設側でも導入を前向きに考えていくべきでしょう。