さまざまな児童が在籍する「特別支援学校」では、看護師も配置されます。
通常の病院やクリニックとは、看護師としての役割にどのような違いがあるのでしょうか。

本記事では、特別支援学校の看護師の仕事内容、特別支援学校ならではの看護師としてのやりがいや大変さについてご紹介します。

特別支援学校の看護師の仕事内容

特別支援学校の看護師は、養護教諭と似ているようで別物です。
ここでは、特別支援学校の看護師の仕事内容をご紹介します。

入学前カンファレンス

急変リスクが高い児童が入学する場合、入学前に保護者や教諭、養護教諭を交えてカンファレンスを行います。
全員で行うべきケア内容や体調不良時の対応方法を確認し、すべての職員が冷静に対応できるようにマニュアルを作成します。
そして作成したマニュアルを職員で共有します。

児童の体調管理や医療ケア

医療的ケアが必要な児童が出席している場合には、その体調管理を行います。
状態に変化があれば、バイタルサイン計測などを実施したうえで、授業を受けられるかどうかの判断を行います。

また医療ケアが必要な児童については、病院から医療ケアの指示書が提出されてますが、看護師はその指示書に基づき医療ケアを実施します。
医療ケアにはさまざまなものがありますが、喀痰吸引や経管栄養といったケアは特定行為とされ、研修を終了し都道府県知事から認定を受けていれば実施できます。
しかし、それ以外の医療ケアは看護師免許を保有する看護師のみが行えます。

薬物管理・投与サポート

児童の薬物管理や投与時のサポートを行うことも、特別支援学校で働く看護師の仕事です。
児童ごとに投与スケジュールや適切な量が異なるため、それを正しく把握した上でサポートしなければなりません。

急変時の対応

急変時の対応も特別支援学校で働く看護師の仕事です。
たとえば、熱発からの意識レベル低下、アナフィラキシーショックなどに対して救急対応を行います。
万が一のときに備え、急変時にどのように対応すべきか、職員に共有しておくことも大切です。

他施設との連携

他の関連施設との連携を取ることも特別支援学校の看護師の仕事です。
たとえば、児童が通院する病院、放課後のデイサービスなどと連携します。
これは、児童が安全に過ごすことができ、成長・発達を促すために重要なことです。

特別支援学校の看護師として働くやりがい

特別支援学校の看護師として働く上で、以下のようなやりがいがあります。

• 児童の成長を間近で見られる
• 元気な笑顔を向けられると嬉しい
• 日勤業務で休みも比較的多い

特別支援学校の看護師として働くやりがいは、児童の成長を間近で見られることです。
特別支援学校にはさまざまな児童が入学します。
入学当初は感情に乏しかった児童も、成長・発達することで多様な感情表現ができることもあります。

また、特別支援学校は学校であるため、看護師も日勤業務のみです。
残業になることはほとんどなく、土日祝日はもちろん、春・夏・冬には大型の休みをもらえます。
そのため、プライベートと仕事を両立しやすいといえるでしょう。

特別支援学校の看護師として働く上で大変なこと

特別支援学校の看護師と働く場合、以下の点が大変だと感じるかもしれません。

• 保護者からの要望が多い
• 責任が重い
• 見守りが多い
• 看護技術が低下していることに気づかない

特別支援学校は、その特性上どうしても保護者さんからの要望は多くなります。
通常、医療ケアを行う場合はご家庭それぞれの方法にあわせて行います。
そのため、手順や物品を管理するのが大変です。
医療ケアが必要な児童がいる場合、「急変したらどうしよう」と感じてプレッシャーになることもあります。

また、特別支援学校の看護師の業務はルーティンになりがちです。
何もないことが一番ではありますが、見守り業務が多くなることから、看護技術が低下しやすいともいえるかもしれません。

通常の看護業務とは異なる特別支援学校での役割を知っておこう

特別支援学校は、何らかの障害を持ち、ケアを必要とする児童が教育を受ける場です。
看護師はその児童たちの安全で快適な生活を守り、成長や発達を促す役割があります。
医療ケアが必要な子、急変リスクのある子などさまざまな児童がいますから、プレッシャーを感じる場面もあることでしょう。

また、基本的にはルーティンワークと見守りなので、看護技術の低下を感じるかもしれません。
しかしそれ以上に、児童の成長に伴う変化を間近で見られることにやりがいを感じることでしょう。
人それぞれ合う・合わないがありますが、たくさんの子どもの笑顔を見たい、子どもとふれあいたい方は、ぜひ特別支援学校の看護師を目指してみてはいかがでしょうか。