病棟クラークとは?医療事務や看護助手との違いを把握しよう
医療機関で働く職種というと、まずは医師や看護師を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
また、受付の事務スタッフをイメージする方もいるかもしれません。
しかし、「病棟クラーク」という職種はあまり聞いたことがない方もいることでしょう。
本記事では、病棟クラークとはどのような職種なのか、医療事務や看護助手との違い、仕事内容や将来性についてご紹介します。
目次
病棟クラークとは
病棟クラークの「クラーク」には「事務員」という意味があります。
つまり、病棟クラークとは、病棟やナースステーションにて専属で働く事務スタッフのことです。
病棟クラークになるには資格は必要なく、正社員採用以外にもパートや派遣などの採用形態があります。
そのため、育児や介護と両立したい方にも向いているといえるでしょう。
医療事務との違い
病棟クラークは病院で働く事務スタッフということで、医療事務と混同されがちです。
しかし、両者には以下のような明確な違いがあります。
- 病棟クラーク:現場は病棟で、医師や看護師に対して事務サポートをする
- 医療事務:現場は外来の受付棟で、患者さんに対して窓口業務を行う
看護助手との違い
病棟クラークは医療現場に近く環境で働く職種であることから、看護助手とも混同されやすいです。
しかし、両者には以下のような違いがあります。
- 病棟クラーク:医師や看護師らの事務サポートや、病棟での患者さん対応を行う
- 看護助手:医師の診察や治療のサポート、看護師のサポートを行う
病棟クラークの仕事内容
病棟クラークの仕事内容はさまざまです。
病棟クラークの1日は、以下の例のようなスケジュールで進みます。
8:00
出勤
8:30
スケジュール確認やスタッフとの打ち合わせ。患者さんの情報共有や病棟管理日誌の管理も行う。
9:00
カルテや診療器具を準備する。書類入力・提出などの事務作業も行う。
9:30
当日に入退院する患者さんの準備を行う。
10:00
患者さんの入退院の手続きや案内を行う。カルテの整理など環境整備業務も行う。
12:00
入院患者さんの昼食の配膳や下膳を行う
13:00
昼食
14:00
当日に入退院する患者さんの準備を行う。
15:00
ミーティングや翌日に行う検査だしを行う。検査前の患者さんへ説明をする。
16:00
翌日退院予定のある患者さんの準備を進める。緊急入院があれば、その対応を行う。
17:00
退勤
病棟クラークの仕事内容
病棟クラークの仕事内容は、大きく分けて3つあります。
- 患者さんへの対応:入退院の受付手続き、設備案内など
- 各種データ管理:カルテや台帳の管理や医師のスケジュール管理、検査や処置伝票の作成と管理など
- 事務作業:検診・検査の準備・片付け、面会者の対応、他の病棟や診療科への連絡、病室のネームプレート作成・管理、データや書類の整理など
病棟クラークの仕事に向いている人
病棟クラークに向いている人は、どのような人なのでしょうか。
コミュニケーションスキルやホスピタリティがある
病棟クラークは病棟の窓口として多くの患者さんや医療従事者と対面で関わることが多い職種です。
病棟クラークになるために資格は不要ですが、高いコミュニケーションスキルは必須といえるでしょう。
また、病棟で働く事務員として、入院患者さんとも関わります。そのためホスピタリティの高さも求められます。
幅広い事務能力
病棟クラークはデータや書類の作成管理も日々行います。
そのため、PCスキルや必要最低限の事務スキルがなければ仕事をスムーズにこなせません。高度なスキルは必要ではないものの、さまざまな事務作業をこなせる幅広さは求められます。
マルチタスク能力や柔軟性
病棟クラークの業務は多岐にわたるため、限られた時間の中で複数の業務を同時にこなすことも必要になります。
そのため、マルチタスク能力やスケジュール管理能力も必要といえます。
また、医療現場では予想外のことが起こることもしばしばあります。
たとえば、緊急搬送された入院患者さんの手続きを行わなければならないこともあるでしょう。そうしたときにスムーズに対応できるように、柔軟性や懐の広さも求められます。
病棟クラークの将来性
医療業界は少子高齢化の影響もあって、人材不足が深刻化しています。
また、医療サービスは高度化・複雑化していることから医師や看護師を始めとした現場スタッフは多くの業務をこなすだけで精一杯になっています。
AIやロボットの導入、DX化なども進んでいますが、業務量に追いついていない状態です。
そのような背景もあり、病棟クラークを始めとした医療現場をサポートするスタッフの需要は高まってきています。
将来的にも、病棟クラークの需要は高まっていくでしょう。
病棟クラークは医師や看護師を支える存在
病棟クラークは、医師や看護師、そして患者さんを支える、なくてはならない縁の下の力持ち的存在です。
医療業界の人手不足が深刻化している状況もあり、今後も需要は伸びていく職種といえるでしょう。