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NICUで働く看護師に必要な大切なこと。年収やキャリアについても考えよう

病院によっては、NICU(新生児集中治療室)が設置されているところがあります。
「NICUってどんなところ?」「看護師の仕事内容は?」「看護師の年収はどのくらい?」という疑問を持っている方もいることでしょう。

本記事では、NICUの看護師の仕事内容、NICUで働く看護師のやりがいや大変さ、年収やキャリアアップについてご紹介します。

NICUとは

NICUとは「Neonatal Intensive Care Unit」の略で、日本語では新生児集中治療管理室または新生児集中治療室と呼ばれます。
成人の患者さんを対象とするICU(集中治療室)と似ていますが、NICUは生後28日未満の新生児の患者さんを対象にしています。
NICUでは、新生児のための集中治療室として、医師常駐でバイタルを24時間体制でモニタリングしながら、新生児が必要とする専門的な医療を提供します。

NICUで働く看護師の仕事内容

NICUで働く看護師

NICUでは24時間体制で新生児に医療ケアを提供します。
そのため、看護師は日勤と夜勤に分かれて業務を行います。
以下は、日勤での1日の例となります。

8:00→出勤
8:25→全体の申し送り
8:30→担当患者さんの申し送り(夜勤から引き継ぎを受ける)
9:00→カンファレンス(必要に応じて行う)、環境整備(医療機器の清掃等)
10:00→バイタルサインの測定と容態観察
11:00→授乳ケア(3時間ごとに1日8回実施)
11:15→前半の休憩(ペアの看護師と相談し、午前・午後のどちらかで休憩する)
12:15→後半の休憩
12:20→バイタル測定や日常ケアを行う
14:00→病棟カンファレンスの実施
15:00→日勤のリーダーへ申し送り
16:00→ご家族の面会対応(カンガルーケアや清潔ケアの指導や補助等も)
16:45→看護記録を記載する
17:00→終業

NICUで働く看護師の仕事内容を、以下で詳しくみていきましょう。

バイタルチェック

新生児のバイタルチェックは、NICUで働く看護師のメインの業務です。
24時間体制で体温・体重・点滴の量などをチェックし、モニターの確認と管理を行います。
異変には早期発見・早期対応が重要であり、異変があれば医師に報告して指示をあおがなければなりません。
新生児は自ら症状を訴えることができず、外部からの刺激ですぐに容態が変化することもあるため、バイタルサインのチェックは欠かせません。

医療機器の管理

NICUは新生児のための集中治療室であり、さまざまな医療機器が使われています。
そのため看護師は、医療機器の使用や管理方法を把握しておかなければいけません。
NICUには以下のような医療機器があります。

  • 保育器の管理:新生児の体温や湿度を管理し、快適な環境を提供する機器。適切な湿度を保たないと雑菌繁殖により新生児に影響を及ぼすことがあることから、感染予防の観点からも適切に関することが大切
  • 光線療法装置:光を当てることで黄疸治療を行う機器
  • 人工呼吸器:新生児の呼吸をサポートする機器。適切な設定、調整を行って呼吸を安定させる

薬を投与する

新生児は成人に比べて身体が小さく、薬の影響を受けやすいものです。
使われる薬の量も少ないため、たとえ1mlの少量誤差でも副作用の影響が強く出てしまうことがあります。
そのため、医師の指示に従って正確に薬を投与することが大切です。

新生児の日常的なケア

新生児のバイタルチェックや治療などの医療ケアだけでなく、日常的なお世話もしなければなりません。
おむつの交換や沐浴、清拭などを行います。

また、新生児は胃腸が小さいため、2~3時間を目安に授乳をしなければいけません。親御さんの代わりにミルクを与えるのも、NICUで働く看護師の大切な仕事です。
加えて、日常的なケアを通して異変がないかを常に意識することも大切です。

家族への精神的なケア

新生児のご家族へのサポートも、NICUで働く看護師の大切な仕事です。
新生児の集中治療室に預けなければいけないということで、親御さんは大きな不安を感じています。
なかには、「健康に産んであげたかった…」とショックのあまり泣き崩れてしまう方もいます。
面会も保育器越しで時間は限られてしまうため、より不安が募ってしまうものです。

NICUで働く看護師は、そうしたご家族の気持ちに寄り添ってあげることです。
赤ちゃんの様子や変化、成長などを優しく伝えてあげましょう。
メモ書き程度の成長記録なども喜ばれます。

NICUで働く看護師のやりがい

NICUで働く看護師には、以下のようなやりがいがあります。

赤ちゃんの成長する姿を見られる

新生児

NICUにいる新生児は、重篤な疾患やハンデを抱えています。
そうした新生児たちが、懸命な治療やケアによって少しずつ回復したり成長したりする姿は、何よりも大きな励みとなることでしょう。
医療ケアだけでなく、自らミルクを与えておむつを交換し、短い期間ながらもお世話した赤ちゃんが、元気になって退院するときは感極まるものです。
この体験は、他の診療科ではなかなか味わえないNICUならではのやりがいといえるでしょう。

ご家族からの感謝の言葉

NICUでは新生児のケアだけでなく、ご家族との関わりも他の診療科以上に深くなります。
毎日治療や医療ケアを進める中で、一緒に悩んで努力するうちに、自然とご家族との絆が生まれます。
退院の際に感謝の言葉をいただけることはNICUの大きなやりがいとなることでしょう。

NICUで働く看護師が大変なこと

NICUは新生児の集中治療室ということもあり、辛いことも多くあります。
24時間体制のケアが必要であるため、夜勤も多くなって身体的に疲労がたまります。また、ご家族は精神的にひどく落ち込んでいることが多く、その対応も難しいことが少なくありません。

そして何より、新生児を扱う現場であることが最も大変な部分です。
自分で症状を訴えられないため、常に緊張感を持ってミスがないように気を配らなければなりません。
また、小さい命を看取ることも多くあるため、精神的に辛さを感じることもあります。

しかし、重篤な症状になっている新生児を救えるのはNICUしかありません。
プレッシャーは重くのしかかるかもしれませんが、それ以上に医療人として信念や使命感を貫ける場所でもあります。

NICUで働く看護師の年収事情

一般的な看護師の年収は、「令和3年賃金構造基本統計調査」によれば平均500万円とのことです。
一方、NICUで働く看護師の年収は、夜勤の回数や残業時間なども含めると、それよりも多いことがほとんどです。
また、NICUの看護師は難症例の新生児のケアをすることも多く、特別手当が加算されることもあります。

出典:総務省統計局「令和3年賃金構造基本統計調査

年収を上げるポイント

NICUで働きながら年収を上げたい方は、以下のことを参考にしてみてください。

ポイント①:勤続年数
一般的に看護師の年収は勤続年数に応じて上昇する傾向にあります。

ポイント②:夜勤を増やす
NICUは24時間体制で新生児に医療を提供していますので、夜勤も多くあります。
無理のない範囲で夜勤回数を増やすことで年収アップにつながります。

ポイント③:資格取得を目指す
助産師や新生児集中ケア認定看護師など、NICU勤務に役立つ資格を取得することで特別手当がつくなど、年収がアップする可能性があります。

NICUで働く看護師のキャリアプラン

NICUで働く看護師のキャリアプランとして、転職または資格取得という方法があります。

転職先・転職方法について

NICUを経験した看護師であれば、小児科や産婦人科、保育園など子供を対象とした職場への転職が向いています。
NICUでの経験を活かせる場面も多いためです。

また転職を希望しているのであれば、在職中に転職活動を進めましょう。
退職後の転職だと、ブランクが空いてしまうためです。
忙しくて転職活動が難しいという場合は、転職サイトや転職エージェントを活用するのがおすすめです。

キャリアアップに活きる資格

NICUの現場でさらにキャリアアップしたいとお考えならば、資格取得がおすすめです。
NICUで活きる資格には、以下の3つがあります。

助産師
妊娠中から出産後までをサポートする専門資格です。
資格があることで専門性を活かして産後の母子の健康サポートやご家族へのアドバイスを行えます。

新生児集中ケア認定看護師
この資格があれば、ハイリスク新生児の身体や発達ケア、ご家族の支援などについて専門的な知識があると認められます。
NICUでとても役立つ資格です。

特定看護師
この資格があれば、一般の看護師以上に幅広く医療行為を行えます。
医師の到着を待つことなく行える医療行為を活かし、NICUでも役立つ資格です。

NICUでしか味わえないさまざまな経験がある

師は他の診療科にはない大変さや辛さがあるものです。
しかし、日々のケアによって赤ちゃんが元気になり成長する姿を間近で見ることができ、ご家族との絆も他の診療科以上に深まる職場でもあります。
小さい命のためにぜひ全力を尽くしていきましょう。