ユマニチュードというケア・コミュニケーション技法。4つの柱や5ステップについて解説 | リアルジョブ介護

高齢者の背中を支える介護士のイラスト

ユマニチュードというケア・コミュニケーション技法。4つの柱や5ステップについて解説

介護の現場においては、さまざまな概念や方法、理論が用いられます。
「ユマニチュード」もまた、そのような概念のうちの1つです。


本記事では、ユマニチュードとは何か、ユマニチュードの4つの柱、ユマニチュードの5つのステップについて解説していきます。



ユマニチュードとは

ユマニチュードとは介護現場で使われる言葉であり、認知症の方に対するケア方法のことを指します。
フランス語を起源としており、「人間らしさ」を意味します。
また、そこから派生して「人間らしさを再び獲得する」という意味も持っています。


ユマニチュードの概念は、今から45年ほど前の1979年にフランスで生まれました。
体育学を専門とする「イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティ」によって生み出されたものです。


彼らは介護の現場を観察して、ケアが上手くいくときと上手くいかないときの違いを見極めていきました。
そしてその違いとは、「見る・話す・触れる」の3つにあると気づきました。
さらに、人間にとって重要なことのひとつが「立つ」ことであるから、『見る』『話す』『触れる』『立つ』の4つが、ケアを行ううえで非常に重要であると位置付けました。
ユマニチュードの考え方や理論は、この4つによって成り立っています。


またユマニチュードは、単なる「技法」としてだけに留まらず、介護における「哲学」も持っている概念です。
人間は生まれながらに平等であり、それを成り立たせるためのものとしてケアがあるという哲学を掲げ、介護を受ける側・行う側というくくりではなく、思いやりを相互に共有していくべきであるとしました。


日本でも2012年に導入され、さまざまな介護施設でこれが取り入れられています。


ユマニチュードの4つの柱

前項で述べた通り、ユマニチュードには4つの柱があります。
それが、「見る」「話す」「触れる」「立つ」です。


見る場合には、「近い距離で正面から水平」に見ることが望ましいとされています。
見下ろすのでもなく見上げるのでもなく、同じ視線の位置に立つことを重要視しているのです。


話す場合には、「柔らかく穏やかに優しく」を基本とします。
また、今行っていることやしてほしいこと(例:『足を上げてください』など)を告げることが重要であるとされています。


触れる場合は、「広い面積を優しくゆっくりと敏感ではない部分から」を意識することが必要です。
唇などの敏感でプライベートな部分にいきなり触れると、利用者様は驚いてしまいます。
そのため、比較的触れやすい肩などに手を置くことから始めます。
なお、当たり前のことではありますが、乱暴に触れるのは厳禁です。


ユマニチュードではこの3つのほかに、「立つこと」を大切にするという特徴があります。
人は立つことで自らの尊厳を保ちやすくなり、内臓や筋肉、循環器系や呼吸器系の調子が良くなるとされています。
1日に20分程度起立することが理想的ですが、それができない場合であっても、日々の生活に立位を意識したケアプランを組み込むことが重要であると考えられています。



ユマニチュードの5つのステップ

ユマニチュードは4つの柱と5つのステップによって成り立っています。
ここでは、5つのステップについて解説していきます。


1.出会う準備

ユマニチュードでは、まず部屋に入る前に3回ノックをし、3秒待ち、さらに3回ノックし、3秒待ち、1回ノックしつつ声をかけて入る……という手順を想定しています。
これによって相手に「来たこと」を伝えることができます(※最初の1回目で明瞭な返事があった場合は、その後の行動は不要です)。


2.ケア実行の準備

ユマニチュードでは、「相手に一方的にケア内容を伝えるのは良くない。相手からの合意を得てから初めてケアをするべきで、それが得られないのであれば出直すことが理想である」としています。
ちなみに合意を得るためにかける時間は、20秒~180秒程度です。


3.知覚の連結

見る・話す・触れるのうちの2つを同時に行い、ケアを行っていきます。
たとえば「おはようございます」と声をかけながら肩に触れる……などです。
こうすることでケアをプラスの意味で捉えてもらうことができるようになります。


4.感情の固定

最後に、「入浴、気持ちよかったですね」などのようにポジティブな言葉がけを行います。 これはケアを「良いもの」であると伝え、次回以降のケアを行いやすくするためのステップです。


5.再開を約束する

ケアを終えるときに、「また来ますね」などのように伝えるようにします。
これを行うことで、「この人との出会いは、この瞬間だけのものではない」「また良き時間をつむげる」と認識してもらえるようになります。



ユマニチュードという概念を知っておきましょう

ユマニチュードはしばしば「理想論である」「現実離れをしている」として批判的なまなざしを向けられることもあります。
介護現場は常に人手不足ですし、近年では新型コロナウイルス(COVID-19)の問題もあります。
そのため、ユマニチュードを完全に実践することはどうしても難しいかもしれません。
それでもユマニチュードという概念を知り、その理想を知ることは、介護の現場に生きる人間にとって意味のあることだといえます。

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