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訪問介護に関わる特定事業所加算とは!? 改定内容について知っておこう

介護や看護の分野では、頻繁に制度の見直しが行われたり、またそれが施行されたりします。
このため介護・看護の分野で働こうとするならば、このような移り変わっていく制度の最新情報にあたり、これに順応していかなければなりません。
本記事では、特定事業所加算について紹介していきます。

訪問介護の特定事業所加算

特定事業所加算とは、「高品質のサービスを利用者様に提供するために、環境などを実施している事業所」に対して評価を加算するとした制度です。

この「特定事業所加算」には1〜5までの5段階があります。
算定要件は大きく分けて12個あります。たとえば、

・スタッフ(訪問介護を行う職員)一人ひとりの研修計画を作っているか、またそれに基づいた研修を行っているか
・利用者様の情報を共有したり留意しなければならないことを伝えたりするミーティングを、定期的に行っているか
・訪問介護を行うスタッフの割合が、「介護福祉士30パーセント」「介護福祉士あるいは実務者研修修了者もしくは介護職員基礎研修課程修了者もしくは1旧課程修了者の総数が50パーセント」以上のいずれかであるか

などがあります。
必須要綱となる算定要件を満たした上で、かつそれ以外の要件のどれを満たしているかによって異なりますが、所定単位数に対して最低でも3パーセントの、最高では20パーセントの加算が行われます。

なお現在は、訪問介護を請け負う事業所のなかで、いわゆる「大手」と呼ばれるところはそのほとんどがこの特定事業所加算を獲得しているといえます。
「特定事業所加算を受けている事業所であること=介護スタッフに信頼してもらえる」と考える事業者もみられると指摘する専門家もいます。

特定事業所加算の目的と、改定について

特定事業所加算は、「利用者様により高品質のサービスを提供できるように」という目的を持って組み立てられました。

介護関係の制度はかなり頻繁に見直しが行われていますが、特定事業所加算制度の見直しが行われたのは比較的最近で、2021年初頭にも見直し・改定が行われています。
改定が行われる前は、特定事業所加算の段階は4段階しかありませんでした。
またこの頃は、最低加算割合が5パーセントでした。
加えて算定要件も異なり、この段階では9つしかなく、内容にも違いがありました(共通部分もあります)。

今後も特定事業所加算の見直しや改正が行われることはあるかもしれませんが、介護の現場で働くのであれば、その概要は把握しておいた方が良いでしょう。

特定事業所加算、働く側のメリットと「利用者様の負担」

特定事業所加算を取得している事業所は、安定した経営を行っているところが多いとみられています。
介護職員に対しても余裕を持って賃金を払えるところも多いため、働く人間からみればメリットが多いといえます(※実際の転職活動においては、必ず「その事業所の提示する実際の給与」を確認するようにしてください)。

職員の研修計画の策定〜研修の実施が特定事業所加算を受けるための必須要綱となっているため、キャリアアップを考えていたり、高い向上心を持っていたりする人には特にメリットが大きいといえるでしょう。
利用者様の情報の伝達や共有をすることも義務付けられているため、一人ひとりの状態などをよく把握できるようになるのも大きなメリットです。
また事業所全体で問題意識を共有できるため、その改善に向けて建設的な話し合いができる可能性も高いといえるでしょう。

また、特定事業所加算の5(3パーセントの加算)の条件として「訪問介護にあたる職員のうちの30パーセント以上が、7年以上の勤続年数を持っていること」が条件とされていることもあり、「定着しやすい職場になるような取り組み」を行っている事業所である可能性も高いといえます。

このような点からみると、働く側にとっては「特定事業所加算を受けている事業所」は非常にメリットが多いといえるでしょう。

ただし、「特定事業所加算を受けていない事業所は、いずれも特定事業所加算を受けている事業所に劣る」とは決して断言できません。
特定事業所加算を受けると利用者様の負担が増えるとして、あえて特定事業所加算をとらずに運営している事業所もあるからです。
これをどのように考えるかは人によって異なりますが、考慮しておきたい部分のうちの一つだといえます。

特定事業者加算を受けるということの意味

特定事業所加算は、「より良い介護を利用者様に」という目的から生まれた制度です。
これは同時に、事業所自体の運営の安定化や、働く人の定着にもつながりました。
現在は、「大手」と呼ばれる事業者の多くがこれを取得しています。

もちろん、「転職・就職をするのであれば、絶対に特定事業所加算を受けている事業所でなくてはならない」とはいえません。
しかし転職・就職するときの考慮材料として、知っておきたい制度の一つではあるでしょう。