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介護報酬の改定内容の1つ「制度の安定性・持続可能性の確保」

内容の充実した制度に見えるものでも、それが短期的な視点でのみ決められていると、その制度は長期的に十分な働きを果たすことはできません。
そこで、介護報酬の改定の1つとして設定されたのが「制度の安定性・持続可能性の確保」です。

本記事では、厚生労働省の「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」のうちの「介護人材の確保・介護現場の革新」について詳しく紹介していきます。

出典:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」

持続可能性とは何か

まずは、「持続可能/持続可能性とは何か」について解説していきます。

これはサステナビリティ“sustainability”の訳語です。
分野によってさまざまな解釈がなされますが、基本的には、「そのシステムやプロセスが、(短期的な成果を挙げただけで終わることなく)持続していけること」を指します。

どれだけ有効なシステムを構築しても、それが1か月後には効果をなくしてしまうものであったのならば、安定的なものとはとてもいえません。
そのため、何かのシステムやプロセスを構築あるいは再構築もしくは改善しようとしたとき、この「持続可能性」に注目する必要があります。

介護の現場から見る「制度の安定性・持続可能性の確保」

では、介護業界における「持続可能性の確保」「制度の安定性」とはどのようなものなのでしょうか。

厚生労働省の資料では、いくつかのカテゴリーに分けられています。

・同じ建物内でのサービスの支給限度額基準額の計算式の見直しを行う
・夜間対応サービスをまったく利用していない人がいることをふまえて、定額サービス部分の評価の見直しを行う
・理学療法士らによるサービス提供の評価や回数の見直しを行う
・介護予防サービスのリハビリテーションを長期間利用する場合の評価の見直しを行う
・居宅療養管理指導の利用状況などの効率性を考える
・令和5年に介護療養型医療施設が廃止されて介護医療院などへの移行が行われることをふまえて、基本報酬の見直しを行う
・段階的に行われていた介護職員処遇改善加算の一部を、上位区分への算定が進んでいることをふまえて廃止する
・成果援助の訪問回数が多い人に対して、本当にそれが適正かどうかのプランの見直しを行う
・サ高住において、適切なサービスが提供できているかなどの見直しを行う
などの施策がとられるようになりました。
より多くの人に、より適したサービスを、より無駄なく行うための改定といえるでしょう。

報酬体系を簡素化するための見直しも行われた

上記に加えて「より柔軟で、より的確なサービスを行うこと」を目的とした施策も講じられるようになりました。
現行では日単位報酬の体系を取っている中重度の要介護者のサービスですが、これを月単位報酬の体系にするとしたのです。

また、今までわかりにくく複雑だったさまざまな加算制度の整理―統合を行い、体系を整理するための試みを行うとしました。
さまざまな制度が産まれ廃止されていく介護業界においては、新しい制度の理解をすることが非常に重要です。
「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」もまた完璧なものではなく、時期がくればまた改正される可能性もあります。

さまざまな改正は、介護を受ける人はもちろん、介護をする人にとってもより良いものであることを目指して行われているものだといえるでしょう。

持続可能な介護制度のために

介護現場は常に人手不足ですし、少子高齢化は進んでいくばかりです。
介護業界は、「短期的に成功すればよい」というものではありません。
そのため、持続可能な介護を行えるようにするために、制度の見直しが頻繁に行われています。