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介護士が覚えておきたい症状別の「食事介助」のポイント

「食事介助」は介護士の主な仕事のうちのひとつですが、「食事介助が必要とされる方はどのような理由でそうなっているのか」によって対処方法は変わってきます。
本記事では、症状別の食事介助について紹介していきます。

運動機能に問題がある症状の方

たとえば、手などが動かなくて食事をとることができない方や、食道まで食べ物が入っていかない方などが、「運動機能に問題があって食事介助を必要とする人」に分類されます。
この場合、動きを補助・補完して食べられるように、福祉用具などを利用します。
また、ASL(筋萎縮性索硬化症)の場合は、介護職が口に食べ物を運ぶこともあります。

リハビリ・訓練も並行して行っていくことで、改善が見込めることもあります。

咀嚼・嚥下に問題がある症状の方

「咀嚼はできるけれど、飲みこむことができない」あるいは「飲みこむことはできるけれど、咀嚼することができない」という状態にある方の食事についても注目しましょう。

歯の問題や口のがん、あごの関節の異常などにより噛めない人の場合は、流動食やミキサー食を選択するようにします。
こちらは、「食事の形態」からのアプローチとなります。

たとえば、「腫瘍などを理由として、飲みこむタイミングが合わせられない」などのようなケースでは、「噛めるけど飲み込めない」というケースも見受けられます。
脳血管にかかわる病気の後遺症としてこれがみられた場合、「脳からの指令と喉の動きが呼応していない」という状況にあることもあるので、軽く舌を刺激するなどして飲みこめるようにする指導を行います。
ただ、場合によっては経口摂取をあきらめることもあります。

食べ物だと認識できない症状の方

認知症や意識障害を理由として、食べ物を「食べ物であること」を認識できない状態になった人に対しての食事介助は、専門職でも非常に難しいとされています。
ただ、原則として、「食べたことのないものを食べさせるとき」と同じ感覚で食事介助にあたるとよいとされています。

たとえば、細かく刻んで「食べられるもの」の中に隠したり、食材への興味を持たせたりするアプローチをするなどです。
これによって、「おいしかった」という経験をさせ、食べ物に対する興味を喚起させます。

精神的な理由により食べたくないという症状の方
精神的な理由により「食べたくない」として食事を拒絶する方の場合、「なぜ食べたくないか」を探ることがもっとも重要です。
彼らの場合、「生きる意欲の喪失」が「食べたくない」に繋がっていることが多くみられます。
そのため、食事介助のアプローチも今まで紹介してきたものとは大きく異なります。

この場合は、ほかの活動の提案も視野に入れます。
たとえば、「お孫さんと一緒の食べ物を食べたら、お孫さんも喜んでくれるんじゃないですか」などのように話し、幼児期のお孫さんと同じ食べ物である離乳食(状)の摂取から促すなどです。
精神的な働きかけをメインとしますが、これも広い意味では「食事介助」といえるでしょう。

ここで紹介したものは、ほんの一例です。
実際には「糖尿病などで食べてはいけないのに、隠し持って食べてしまう人」に対するアプローチの勉強が必要になるなどのこともありますし、「運動機能に障害がある場合」でも「どこの部位に障がいがあるか」で方法は変わってきます。

一人ひとりにあった食事介助を

「食べることは、すなわち生きること」です。
介護職は常に「介護される人が、どのようにしたら食べ物をとれるようになるのか」を考えながら、一人ひとりにあった食事介助を考えていかなければなりません。
そのため、時にその仕事範囲には、「精神的なサポート」まで含まれる意識を持つことが大切です。